「痔」は、部位が部位だけに「受診は恥ずかしい」「治療が痛そう」と、ひどくなるまで我慢する人も多いようです。また、痔だと思っていたら実は大腸がんだったということもあります。今は医療の進歩で、以前に比べると楽に早く治せるようになっています。少しでも違和感があったら早めに受診しましょう。最近の痔の治療方法や予防などについて、日高大腸肛門クリニック(福岡県久留米市)の日高久光院長に聞きました。

おしりの違和感放置しないで

痔の代表的なものは3種類

 

 「痔」の症状はさまざまで、「痔核(いぼ痔)」「痔瘻(化膿してうみがたまる)」「裂肛(切れ痔)」が三大痔と言われています。
 原因は、生活習慣、便秘、加齢等で下記のような症状があります。痔と大腸がんは、訴える症状がよく似ているので、「恥ずかしいから」と放置したままにしておくと、実は大腸がんで、しかもかなり進行していた、ということもあります。おしりに違和感を覚えたらすぐに専門医を受診しましょう。大腸がんは消化器外科、痔は肛門外科が専門になりますが、当院では、どちらもカバーしているので、万一がんが見つかっても対応できます。

内痔核には「ジオン注射」

ジオン注射はひとつの痔核に対して4か所に分割して投与します。

 痔は、幅広い世代で男女を問わずかかる病気で、出産を経験した女性の約半数が痔を経験しているとも言われています。受診をためらう人が多いのは、「痔の治療は痛い」というイメージが強いことも一因のようです。また、痔の治療イコール手術・入院が必要で時間がかかるという印象もありますが、今は手術以外の治療方法も充実しています。中には痛みを伴わない方法もあります。
 特に痔核(いぼ痔)のうち内痔核の場合、「ジオン」という薬剤を直接患部に注射して痔を小さくする「ジオン注射」はとても有効です。内痔核ができる直腸の内側は、神経が通っていないので、痛みがなく、直接患部に注射することができ、個人差はありますが、多くの患者さんが注射をした翌日から内痔核が小さくなります。治療時間は5分ほどで、30分~1時間ほど経過を見て、日帰りが基本です。
 痔瘻は、昔は手術しか治療法はないと言われていましたが、今では6割が切開してうみを出す「処置」を行い、手術になるのは4割程度です。処置で大半の人が快方に向かいますが、繰り返す人には手術を勧めています。手術になった場合でも、腰椎麻酔で所要時間は15~20分、入院は長くても3日ほどで、経過次第では日帰りも可能です。
 裂肛は、肛門の皮膚が弱い人や便秘の人が多くかかります。特に、便秘がくせになっている人には、薬で便通を整えて、座薬などの薬で治療します。排便の際は長くいきみすぎないなど、正しい排便習慣の指導も同時に行います。

だれもがかかる可能性

 症状によってさまざまですが、痔の治療は、昔に比べると痛みが軽減され、短い期間で可能になりました。痔と大腸がんの症状が似ていることから、当院では痔の症状を訴えて来院した患者さんにも、必ず大腸がんの疑いがないか確認してから治療をするようにしています。痔は年齢、性別問わず、だれもがかかる可能性があります。おしりに違和感を感じたら、恥ずかしがらずに専門医を受診しましょう。

【MEMO】

専門医による外科手術も対応

 日高大腸肛門クリニックは、医師4人が在籍する専門のクリニックで、肛門や大腸以外に、下肢静脈瘤やそけいヘルニアの診察、手術にも対応しています。
 下肢静脈瘤は、足のむくみやしびれ、こむら返り、血管がぼこぼこしているなどが主な症状で、命に関わる病気ではありませんが、生活の質を低下させないためには適切な治療が必要です。当院には血管外科専門医が在籍し、最新技術の治療も可能です。日帰り手術にも対応しているので、下肢静脈瘤でお悩みの方は一度ご相談ください。


日高大腸肛門クリニック 院長

日高 久光

 

ひだか  ひさみつ 1974(昭和49)年、久留米大学医学部卒後、同第二外科教室入局。国立九州がんセンター、久留米大学救急救命センターなどを経て1987(同62)年、高野会日高病院院長に。2001(平成13)年、日高大腸肛門クリニック設立。日本大腸肛門病学会指導医・評議員、日本消化器内視鏡学会専門医など多数。剣道教士七段。

 

 

 
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