脳梗塞は、脳の血管が詰まって酸素が行き渡らなくなり、脳細胞が壊死してしまう病気で、言語や運動機能を損なう場合があります。損傷を最小限に抑えるためには、急性期(発症直後)の迅速な治療が重要です。脳梗塞の対応の仕方や治療法などを、如水会今村病院(鳥栖市)脳神経外科の伊香稔脳卒中センター長に聞きました。

いつもの動作が取れない 「変だ」と思ったら救急車

予兆はほとんどない

 脳梗塞は、予兆がほとんどなく、発症するまで症状らしい症状が出ないのが特徴です。頭痛がする、いつもは何ともないのに手や足がしびれる、ろれつが回らない、顔面が引きつるなどの症状が出て、初めて「おかしいな」と気づくことが大半です。
 脳梗塞は血管が詰まった先の神経細胞が損傷する病気なので、損傷を食い止め症状を軽度にとどめるためには早期診断、早期治療が肝心です。最近、救急車の過剰利用が問題になっていますが、脳梗塞の治療は一刻を争います。一般の方にはなかなか判断しづらいので、「何かいつもと違う」と思ったら、すぐに救急車を呼びましょう。

発症後、3時間以内が理想

治療前の画像。矢印部分が血栓

 急性期の治療は、薬剤で血栓(血の固まり)を溶かす「血栓溶解療法」と、詰まった血管にカテーテルを挿入してまた通るようにする「血管内治療」があります。それらの治療は、血栓溶解療法の場合は発症から4時間半以内まで、血管内治療の場合は8時間以内までとされていますが、病院に着いてから2時間以内、発症してからは3時間以内に始めるのが理想的です。血管内治療の場合、治療開始が10分遅れるごとに、最終的な後遺症の程度が8%ずつ悪くなっていくと言われています。目安の4時間半まではよいということではなく、早ければ早いほどよいということです。いずれにしても時間との勝負です。

治療後の画像。血栓が消えていることが確認された

 病院に運ばれたらまず、CTやMRIなどで画像診断をします。画像で詰まった血管を見つけたら、詰まった部分を溶かす血栓溶解剤の投与や、カテーテルを脳血管に誘導して血栓を取り除く血管内治療を行います。当院では、最新式の血管造影エックス線診断装置を備え、早期診断・緊急治療に大活躍しています。
 初期治療後は、点滴や内服等で治療を続けながら、徐々にリハビリ中心の治療に移行していくことになります。

 

適度な運動と食生活で予防

最新式の血管造影エックス線診断装置 

 脳梗塞にかかるリスクが高い人は、心臓疾患による不整脈がある、動脈硬化、高血圧、高脂血症、糖尿病などがある人と言われています。喫煙の習慣がある人も要注意です。年齢的なリスクも高く、高齢になるほど注意が必要です。若い人でも高血圧型、糖尿病型の脳梗塞にかかることもありますので、「自分は大丈夫」と考えず、日頃から注意するようにしてください。
 予防には、日頃の生活習慣の見直しが重要です。適度な運動と食生活を見直すことで、標準体重を維持するよう心がけましょう。特に運動を習慣づけることが大事です。年齢や持病の有無にもよりますが、ウオーキングやゆっくりペースのジョギングを1回30~40分、週2~3回ぐらい行うのがよいと思います。ウオーキングは有酸素運動なので、心肺機能の向上に有効です。膝痛や腰痛に悩む人には水中ウオーキングやゆっくりスイミング等もお勧めです。食事は、脂肪分の摂りすぎを考え和食を中心に、そして食べ過ぎないよう、日頃から腹八分目を心がけましょう。


今村病院脳卒中センター長 脳神経外科

伊香  稔

 

いこう・みのる 防衛医科大学校出身。自衛隊佐世保病院、福岡大学筑紫病院などを経て、2017(平成29)年10月から、今村病院勤務。日本脳神経外科学会認定専門医・指導医、日本脳卒中学会認定専門医、日本脳神経血管内治療学会認定専門医など多数。

 

 

 

 

医師紹介

野元 康行 (のもと・やすゆき)

 

■副院長
  [専門分野] 脳神経外科

 

 

 

 

 

江藤 輔聖 (えとう・ほうせい)

 

■脳神経外科部長
  [専門分野] 脳神経外科

 

 

 

 

 

 
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