高血圧をそのままにしておくと、脳出血や脳梗塞、狭心症、心筋梗塞、慢性腎臓病、高血圧性網膜症などの疾患を引き起こし、死に至る大きなリスクとなります。特に心血管系へ及ぼす因子として大きく関与し、さらに65歳以上、糖尿病、喫煙の習慣など他の要因が加わると死亡するリスクはさらに高まります。そこで普段の生活の中で食事や運動など高血圧を改善する方法を、県栄養士会・管理栄養士の中村京さんに聞きました。

減塩だけでなく複合的に降血圧

60代で大幅に増える高血圧

 血圧は血管にかかる圧力のことです。血圧が高い状態が続くと血管への負荷が増大し、そこから動脈硬化が進んでいきます。動脈硬化とは動脈(血管)が硬くなり、老化することです。全身の臓器や目や脳は血管の塊なので血管が老化すれば全て老化する事になります。
 年代別にみると高血圧が最も多いのが男女ともに60代です。多くの人が定年を迎えるころで、定年後、運動不足や間食、酒量の増加という不摂生が原因で血液の検査数値が悪くなる事が多いようです。つまり体の中の状態が良くないという事です。血管は、血液中の余分な塩分や糖分や尿酸で内皮細胞が傷つき、そこから中性脂肪からできた悪玉コレステロールが入り込んで変形していきます。内臓脂肪の増加も悪影響を及ぼします。動脈硬化が進んで血管が硬く、細くなるとさらに血圧が高くなるという悪循環に陥る人も増えているようです。動脈硬化が心配な方は頸動脈超音波検査を受けるとよいでしょう。早期の血管異常が見つかります。

血圧を下げる6つのこと

 血圧=減塩というイメージがありますが、ほかにも効果的に血圧を下げる方法があります。

1.減塩

  高血圧の方の1日の塩分摂取量の目安は6㌘以下です。しかし、減塩した料理が不満足では長続きしませんし、降圧にもつながりません。減塩に舌を徐々に慣らし、満足いく方法で減塩を続けていきましょう。最終的にスーパーなどで市販されている寿司をしょうゆなしで食べられるようになると、減塩できた目安になります。また、薄味でもたくさん量を取るのと、濃い味を少量とは同じです。塩分は食べる量とも関係しますので薄味だからと言って油断しないで注意して下さい。

2.野菜と果物を積極的に摂る

(a) 生野菜で1日350㌘(そのうち緑黄色野菜は約120㌘)が目標。野菜やわかめやひじきなどのカリウムは、塩分のナトリウムを体の外に排出します。抗酸化作用がある緑黄色野菜やミカン、イチゴなどは、積極的に摂りたいものですが果物はミカン2個、イチゴは250㌘程度が1日分です。
(b) コレステロールや常温で固まる油の摂り過ぎは血管に悪影響を与えるので、ポテトチップスやケーキなど脂質の多いものは控えます。魚油は積極的に摂って下さい。

3.減量

 18~49歳はBMI(肥満を判定する国際基準)18・5~24・9、50~69歳は20~24・9、70歳以上は21・5~24・9を目標にします。
※ BMIの計算方法 = 体重(㎏)÷ 身長(m) ÷ 身長(m)

4.運動

 ウオーキングや家事などを含めて、1日30~60分の有酸素運動をしましょう。

5.節酒

 1日ビール500㍉㍑、日本酒1合、焼酎90㍉㍑.(半合)、ウイスキーダブル60㍉㍑まで。これらはそれぞれ純アルコール量20㌘に相当し代謝分解するのに5時間かかります。週2日は休肝日を設けてください。肝臓の再生能力を期待して休ませましょう。

6.禁煙

 禁煙して20分で血圧や脈拍が正常に近づきます。また24時間で心臓発作を起こすリスクが低下。2~3日で完全にニコチンが体から抜けます。

高齢者の降圧

 高齢者は、極端な減塩は食欲を減退させ、低栄養になることがあるので注意が必要です。野菜も腎臓機能障害や糖尿病からくる高カリウム血症になる可能性があるので、野菜の取り方には気を付けてください。運動の目標として60歳以上は早足歩きを1回30~40分、週に3回以上を継続するといいでしょう。
※    「2014 高血圧ガイドライン」より


管理栄養士・病態栄養専門士・日本糖尿病療養指導士

中村 京 氏

 

なかむら みやこ  大妻女子大家政学部食物学科管理栄養士コース卒。現在坂井医院(川副町)の栄養指導や民間企業の委託で特定健診の保健指導をしている。

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