旧森永家住宅和室に展示された鍋島緞通

職人の手で一目ずつ織り進む鍋島緞通。見学も可能

 肥前さが幕末維新博覧会でにぎわう柳町の通りに、鍋島緞通(だんつう)を織るリズミカルな音が響く。緞通の手織工房「織ものがたり」は、木下真(しん)さんと妻由紀子さんが意を同じくする仲間と立ち上げ、江戸時代から340年続く鍋島緞通の伝統技術を今に伝えている。

 代表的な蟹牡丹(かにぼたん)文や、明治の華道家である春陽館家に代々伝わる緞通を復刻した華牡丹に松皮文などデザインは多岐にわたり、座布団や椅子敷きなどの小物もそろう。

 「反物などと違い、図案を起こすところから完成まで自分ひとりの手で作り上げられる点が大きな魅力」と語る真さん。織り方を一通り覚えるのに3年。同じ作業の繰り返しに見えるが、均等な力で真っすぐ織っていくには熟練の技が必要だ。

 「時間や手間をかけて作る物が少なくなった現代に、あえて手作りの作品に触れてもらい機械化された物との違いや魅力を感じてもらえたら」と、デザイナーで織手の由紀子さん。昨年から60センチ四方の額に挑戦するなど、鍋島緞通の新たな可能性も追求する。(地域リポーター・富崎喜代美=佐賀市)

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