「鼠(ねずみ)が天井でさわいでいる。われわれの食卓は貧しい上にほこりだらけである」-。名作『次郎物語』で知られる作家下村湖人=千代田町出身=が、混迷する政治を天井のネズミに例えている◆さて、どう退治したらいいのか。「最も簡単で、確実で、かつ永久的な方法は、天井をとりのけることである」(『青年の思索のために』)。政治の垣根を取っ払い、すべてを国民の目に見えるようにせよ、というわけだ◆森友学園問題で、ついにキーマンの証人喚問が行われた。なぜ国有地は格安で売却されたのか。公文書改ざんの目的は何か。政治の関与はあったのか。渦中の佐川宣寿前国税庁長官は、政治の関与は否定しつつも「捜査を受ける身」と証言拒否を連発した◆改ざん疑惑が報じられて以来、わずかひと月足らずで政治状況はがらりと変わった。内閣支持率は急落し、危険水域とされる30%割れも現実味を帯びてきた。「安倍1強」ともてはやされ、この世の春を謳歌(おうか)してきた首相の足元が揺らぐ◆冒頭の下村は「権力の地位についておごらなかった政治家はまれである(略)総じて人は、窮迫した時にはみだれなくても、羽振りのよい時にはみだれがちなものであり、しかもその害悪の及ぶところは、羽振りがいいほど大きいものである」とも。何やら今の状況に重なりはしないか。(史)

このエントリーをはてなブックマークに追加