主権者教育の出前授業で質問に答える生徒=佐賀市の致遠館高

主権者教育の出前授業で、「首相の名前を書ける?」という出題を回答する生徒=佐賀市の致遠館高

 佐賀県内の高校生を対象に実施、約3200人が回答した「18歳選挙権」に関するアンケート調査結果では、選挙権年齢の18歳以上への引き下げは好意的に受け止められているが、若者の意見が政治に反映されていると感じる高校生は少なく、政治への関心の高まりもいまひとつだ。一方で若者の低投票率を問題と捉える声は多く、こうした意識を政治への関心につなげていけるかが課題だ。

 

 ■調査協力校(順不同)

 佐賀東、佐賀西、佐賀北、致遠館、唐津東、唐津西、鳥栖、武雄、鹿島、小城、厳木、白石、太良、唐津南、高志館、佐賀農、佐賀工、唐津工、鳥栖工、有田工、佐賀商、鳥栖商、杵島商、鹿島実、牛津、嬉野、龍谷、佐賀女子、北陵、敬徳、弘学館、中原特別支援、うれしの特別支援

 

 ■調査方法 佐賀県内の高校生全学年を対象に2月1~26日、佐賀新聞のウェブサイト「LiVE(ライブ)」の特集ページ「18歳選挙権」からアクセスできる専用フォームを通じてアンケートを実施した。33校の男子1402人、女子1804人の計3206人が、学習用パソコンなどから回答した。

◇18歳選挙権の影響と効果 10代の票「結果に影響」5割

 「18歳と19歳が選挙権を得ることで選挙結果に影響があると思いますか」との質問には、「かなりある」が13・7%、「少しある」が40・3%で、5割以上が10代による選挙権行使が影響力を持つと感じている。

 ほぼ100%の生徒が、選挙権年齢の18歳以上への引き下げを「知っている」と答え、浸透が進んでいる。18歳選挙権の受け止めも「よかった」が27・4%、「どちらかと言えばよかった」が49・7%で、7割以上が好意的だった。

 一方で、10代の投票行動が政治を動かすまでには至らないと考える高校生が多かった。「18歳選挙権によって若者の意見が政治により反映されるようになったか」との問いには、「あまり思わない」が38・3%で最も多く、「思う」「少し思う」は合わせて23%にとどまった。

 こうした状況の背景には、若者の声が届いていない政治への不満もありそうだ。「若者の意見が今の政治に反映されているか」との質問には、「あまり思わない」が半数近くに達した。

 

◇政治・課題への関心 「政治に関心13%「政治、身近に感じない」46%

 今の日本の政治に「関心がある」と答えたのは13・6%にとどまり、「少し関心がある」が39・2%、「あまり関心がない」が36・5%だった。

 政治を「身近に感じる」も9・5%と低く、「少し身近に感じる」が26・7%、「あまり身近ではない」が最多の46・1%。主権者教育が強化されているが、高校生が政治への関心を高めるまでには至っていないようだ。

 関心のある課題(複数回答)は前回同様、「東京五輪・パラリンピック」(50・3%)、「若者の就職、労働問題」(42・6%)と答えた生徒が目立った。次いで「少子化対策」(32・9%)、「景気対策」(27・3%)、「いじめ対策」(27・2%)などが多く、身近なテーマに関心を示す傾向が見られた。

 オスプレイの佐賀空港配備問題といった安全保障政策や原発問題など、地域に関わる課題も一定の関心を集めた。

 

◇投票行動、投票率 若者の低投票率「大きな問題」

 昨年10月の衆院選小選挙区で、佐賀県内の10代の投票率は42・67%で、九州・沖縄では最も高かった。ただ県内全体の投票率59・46%は下回っており、若者の投票率向上が課題になっている。

 若い人ほど投票率が低い傾向について、4割以上が「大きな問題」と答え、改善すべきと認識されている。1、2年生に選挙権を得たら投票するかを尋ねたところ、29・5%が「必ず投票する」、52・2%が「できれば投票する」と答え、投票に意欲的だった。また、国政選挙より地方選挙のほうが「投票したい」と考える生徒は多かった。

 投票率を上げるための方策(複数回答)は、8割以上の生徒が「パソコンやスマホから投票できるようにする」と答えた。「投票所を高校や大学に設ける」(46・3%)、「コンビニや大型商業施設、駅に投票所を設ける」(31・1%)と併せ、投票所に足を運ぶことにハードルの高さを感じていることがうかがえる。

 

◇政治との接し方 政治の話、多数が「家族としない」

 家族と政治について話すかどうかを尋ねたところ、「あまり話をしない」と「まったく話さない」がともに3割を超えた。身近な人と日常的に政治の話をしている高校生は少なく、政治との接点をいかに増やすかがが課題になっている。

 家族との間で「よく話をする」は6・1%。同世代の友人との間でも、「よく話をする」は3・1%、「時々話をする」は12・9%にとどまった。政治家のホームページや会員制交流サイト(SNS)での発信を見るかどうかの質問には、「まったく見ない」が7割を超えた。

 そんな高校生が、政治や選挙に関心を持つにはどうすればいいのか。アンケート(複数回答)では「普段から新聞を読んだり、ニュース番組を見たりする」「学校の授業で、政治や選挙に関する主権者教育を充実させる」が4割を超えた。家庭や学校での日常的な取り組みが求められている。

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