大好きな歩を持つ武富礼衣さん。「まずはタイトル挑戦を目指す」と話した=佐賀市

 男女を通じて佐賀県初の将棋プロ棋士になった佐賀市の武富礼衣さん(18)。女流名人戦の予選決勝も制して初段に駆け上がり、女流名人位への挑戦権をかけたリーグ戦への参加権も獲得した。4月に学生将棋の強豪、立命館大へ進学するのを前に対局を振り返ってもらい、抱負を聞いた。

 

 -プロ資格「女流2級」を目指す2月の女流名人戦予選の準決勝前、プレッシャーと戦っていた。

 プロ「仮免許」の女流3級になって1年8カ月。2年間で昇格規定を満たさないと、3級への挑戦へ戻る。意識しすぎて、踏み出さなきゃいけない局面で、怖いから安全な手を選んでいた。それで僅差で負けることが続いていた。

 2月の対局は「女流名人戦決勝進出」という昇格規定を満たすための特別な勝負だった。1週間前から対局の夢を見て、不安と重圧で生きている心地がしなかった。

 -大学への進学が決まった11月から流れが変わっていった。東京の将棋道場で練習していた奨励会員からも「伸びたね」と変化を指摘されたという。

 将棋に集中できる環境になった。師匠の中田功七段が師事した大山康晴十五世名人の著書から「挑戦者の心」も学んだ。一局に全力を振り絞り、いい将棋を指す覚悟ができた。

 

 -準決勝の対局当日は、うまく開き直れた。

 強豪の岩根忍女流三段との勝負では、全力をぶつけることができた。岩根女流三段の投了の声は「ホントかな?」とぼんやりと聞いた。対局後、缶ジュースを飲みながら何度も頰をたたき、夢じゃないことを確認した。プロへの昇格を実感したのは翌朝、みんなからのお祝いメールだった。

遊ぶなんてもったいない

 -息抜きは友達との買い物、カラオケ。遊んでいても将棋のことは忘れない。

 遊んでいると、罪悪感もある(笑い)。進学する立命館大は学生王座の常連校で、女流プロの先輩も在籍している。プロの練習場所である関西将棋会館も近いし、夢のような環境。遊ぶなんてもったいない。

 

 -佐賀の将棋連盟の会員や福岡の将棋道場のメンバーらから教えを受けた。

 誰か一人欠けていたら、今の自分はない。将来は将棋の普及で恩返ししたい。でも、まだまだ読みの速さ、深さ、感覚、すべての面で足りないから、とにかく着実に力をつけたい。卒業までの4年間でタイトルに挑戦したい。

このエントリーをはてなブックマークに追加