台湾なら茶藝(げい)館、中国・上海なら茶館。気軽に喫茶を楽しめる店が、街のあちこちにある。昨年訪れた台湾・台北の茶藝館は、日本統治時代の日本家屋をそのまま生かし、趣のある空間を演出していた◆最高級の台湾茶「凍頂烏龍(とうちょううーろん)」をいただく。一煎目、茶杯を鼻先に運ぶと、果物や花の甘い香りに陶然となる。香りが複雑で、何とも言えない余韻が楽しめた。二煎目、三煎目と、味と香りが微妙に変化し、日本茶とはまた違った味わいがある◆アジアの人は、お茶が好きだ。そこに日本茶の輸出の可能性も広がる。「うれしの茶」が海外で手応えが出てきたという、うれしい報が届いた。嬉野市の茶生産者と卸業者の団体などが、シンガポールの高級茶専門店で開いた試飲会。高い情報発信力を持つ人たちを招き、緑茶を振る舞った◆「お茶のうま味が理解できた」などと反応は上々。香りをより重視することも分かり、次なる研究課題を見つけた。茶の作法や茶器などの奥深い日本文化も合わせれば、さらに豊かになるだろう。今週には、その茶店のオーナーが嬉野を訪れ、生産現場を視察。茶商を交えやりとりをする◆今、世界では「抹茶ブーム」。日本のお茶の歴史も語りながら、空間や味を楽しむ向きも増えてきた。うれしの茶を世界中で味わう時代は、そう遠くないように思える。(章)

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