玄海原発の正門前で抗議活動をする人たち。「午前11時に再起動した」という報道を受け、反対の声を強めた=23日午前11時25分ごろ、東松浦郡玄海町

 「原子の火」が再びともった。東松浦郡玄海町で23日、原子炉を起動させた九州電力玄海原発3号機。「とにかく安全に」。中央制御室では、緊張した面持ちの関係者の声が響いた。静寂に包まれた作業現場とは対照的に、敷地の外では再稼働に反対する市民が「起動のボタンを押すな」と抗議の声を上げた。 

 午前10時58分、中央制御室。当直主任の男性が卓上の電話を取り、「原子炉起動の操作を始める」と構内向けにアナウンスをした。2分後、原子力規制庁の保安検査官が見守る中、運転員が制御棒を動かすレバーを慎重に押し込んだ。

 「11時00分に3号機原子炉を起動しました」。職員からこう報告を受けた玄海原発の今村博信所長はかみしめるように何度かうなずき、「とにかく安全。安全第一で起動操作に当たって」と言葉を返した。

 この日、原発周辺には警察が検問所を設けた。パトカーや白バイが待機し、物々しい雰囲気になった。

 「命を危険にさらす原発は許されない」-。正門前では午前8時半から、九州を中心に全国から集まった約150人がマイクを代わる代わる握ってシュプレヒコールを上げた。玄海町民4人も並び、元住職の仲秋喜道さん(88)も声を振り絞った。福島第1原発事故から7年が経過する中、脱原発の機運は高まっていると捉え、「追い詰められているのは九電で、原発が全廃になるのは時間の問題。われわれは最後の最後までこの闘いをやめない」。

 九電や国を相手に玄海原発の運転差し止め訴訟を起こしている「玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会」の石丸初美代表(66)ら原告は、午後からの公判に臨むために佐賀地裁に向かった。玄海3、4号機の再稼働差し止めを求める市民の仮処分申し立ては、これまで佐賀地裁に却下されてきた。九電側の主張が通る状況に、石丸代表は「三権分立が機能していない。司法独自の踏み込んだ調査と考えで、判断してほしい」と批判の矛先を司法にも向ける。

 抗議活動は福岡市の九電本店前でも行われ、市民や労働者、政党の関係者ら約30人が集まった。抗議文を手渡そうとした代表者が本店のあるビルに入館しようとしたが、警備員に止められて怒りをあらわにした。

 市民団体「原発いらない!九州実行委員会」の青柳行信さん(71)は「『後日、来てほしい』と言われたが、再稼働した日に門前払いにするのは不誠実」と対応を非難した。

このエントリーをはてなブックマークに追加