「原発は本当に必要なのか」-。疑問が拭えない佐賀県民もいる中、東松浦郡玄海町で23日、九州電力玄海原発3号機が再び動き出した。地域経済に及ぼす影響、安全性に対する根強い不安…。賛否が入り交じる中で進む国策に県民は複雑な思いを漏らした。

 「たくさんの人が今も反対し、伊万里市長もずっと反対してきたのに、再稼働してしまった」。伊万里市で農業法人を経営する善斉洋子さん(39)は、どれだけ不安の声を上げても届かない状況に無力感を覚える。「原発がなくても生活できていたのをわざわざ動かすのだから、安全性と必要性について、今まで以上に納得できる説明をしてほしい」と訴える。

 4歳と1歳の子育てをしている佐賀市の村上亜希さん(38)は言葉を選びつつ「本当は再稼働してほしくないんだけれど…」と、福島第1原発事故の影響が続く中での再稼働に戸惑う。「日本は地震が多い国。玄海で事故が起きないとは言えない」と不安を拭えない様子だった。

 全国で再稼働が進む現実を重くみる人もいる。パートで働く唐津市の川崎和夫さん(79)は「福島の事故で心配される方がいるのは分かるが、政府が国策として進め、資源のない日本では再稼働は仕方がない」と受け止めている。「お金をかけて事故対策が進み、安全面は十分に注意していると思う。現状では自然エネルギーだけというわけにもいかない」と話す。

 福島県から鳥栖市に家族で避難してきた30代主婦は「再稼働は国策で、市民一人の声では何も変わらない」と淡々と受け止める。ただ「これまで電力は供給できていたから、再稼働が必要だとは思っていない。一方で、原発で働いて生計を立てている人たちにとっては必要なことも分かる」と複雑な胸中ものぞかせた。

 原発停止に伴う電気料金の値上がりは、企業経営を圧迫してきた。鹿島市の矢野酒造では電気料金が10~20%ほど上がったため、電力会社を九電から切り替えた。矢野元英常務取締役は「やらせメールなど企業体質を疑うこともあったが、業績を踏まえて再稼働を決めたことは共感できる」と九電が置かれた経営環境に理解を示した。

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