原発再稼働への複雑な思いを語った玄海町民の平田義信さん=佐賀市

 40年以上も玄海原発のそばで暮らしてきた地元玄海町の人たち。九電による「やらせメール」問題、新規制基準による審査…。曲折を経て迎えた再稼働への受け止め方はひとくくりにはできない。そうした中、町民の一人は町内の空気を言い表す。「事故への危機感は強くなったけれど、『安全に動いてくれればいい』という思いは変わらない」

 2011年6月、再稼働を巡り国が主催した説明番組で、九電社員らが賛成意見のメールを送った「やらせメール」問題。玄海町のNPO職員平田義信さん(55)は、その舞台になった番組に出演していた。

 「やらせメール」を端緒に、プルサーマル導入を巡る県主催の説明会での九電の動員など、世論を誘導するような過去の行為も明らかになった。当時の佐賀県と九電のなれ合いの関係も露呈した。「これを機に、稼働させるには一筋縄ではいかないという認識が現場には広がっただろう」。平田さんは九電の変化をこう推し量り「この緊張感がいい方向に働けば」と望む。

 足元を顧みると、変わらない姿もあると考える。「原発依存」という指摘もあった町民の意識については「事故の恐ろしさの認識は十分に浸透した」。ただ、「稼働しないと経済的に厳しいという層は確実にいる。安全に動いてほしいとの思いは、3・11前と変わらないのでは」と指摘する。

 「動いても、動かなくても、すぐそこにある危険性は変わりない。その意味では、再稼働は一つの過程にすぎず、仕方ないというのが正直な思い」。町民の複雑な胸の内を代弁する。

 一方で次の世代への責任にも言及する。「このままでいいとは思わない。廃炉までしっかりやってもらわないといけない。その筋道を国や電力会社につけさせないといけない」と問題意識を示した。

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