葉ワサビ売り

 「ワサビはよござっしょー」の売り声が懐かしい。葉ワサビ売りの女衆の声は春の到来であった。昭和40年ごろまで九千部山の福岡県側の村から鳥栖まで売りにきていたという。かなりの遠距離である。

 鳥栖地域の味として売り手と買い手が成り立っていたのだろう。加工する方法がこの地域に広がり根付いたことは不思議である。

 葉ワサビは母の味の一つ。上手にできたものは鼻にツーンと強くくる。下手なものは刺激が少ないのですぐ分かる。作り方は水洗いした葉ワサビを包丁の裏で軽くしばらくたたき、熱湯をかけて5センチくらいに切り酢じょうゆと少々の日本酒を入れて、広口瓶に入れておくと翌朝には食べられる。こつは熱湯を75度くらいにして、手でちぎるのが良いとのこと。今でも時々八百屋の店先に並ぶ。この季節の楽しみである。

(絵・文=水田哲夫・鳥栖市本町)

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