九州電力玄海原発3号機(東松浦郡玄海町)が再稼働した。東日本大震災による深刻な原発事故から7年、再稼働した原発は7基目となった。

 再稼働に当たっては、政府が「世界一厳しい」と胸を張る新たな規制基準に沿って、原子力規制委員会が妥当かどうかを審査してきた。これを受けて、九州電力も巨大津波に襲われた場合の対策などを講じてきた。

 焦点に浮上していた「火山の噴火リスク」については、住民らが再稼働を差し止める仮処分を求めていたが、今週、佐賀地裁は認めなかった。昨年12月には、広島高裁が四国電力伊方原発3号機(愛媛県)の運転を差し止めたが、その理由として約130キロ離れた阿蘇カルデラ(熊本県)の破局的噴火を挙げていた。玄海原発もほぼ同じ距離に位置するが、今回、佐賀地裁は「具体的な危険が存在するとは認められない」と判断した。

 これで、現在の知見で得られる最大限の安全性が担保されたと言えるのかもしれない。

 だが、東日本大震災による原発事故が「想定外」の連続であったように、どれほど安全対策を重ねても、ゼロリスクはあり得ないだろう。いまだ、いくつもの課題が残されている。

 その一つは、原発事故が起きたときに住民が安全に確実に避難できるのか、という点だ。避難計画が策定され、訓練が行われたとはいえ、これが実際に機能するのかという疑問がくすぶる。

 玄海原発から30キロ圏内には17の離島があり、天候によっては住民が避難できない事態も考えられる。住民からは「なんかあったら逃げても無駄」「諦めるしかなか」などの声も聞こえてくる。

 この30キロ圏内には、佐賀県だけでなく、福岡、長崎両県を含めた8市町が立地する。このうち、長崎県側では平戸、松浦、壱岐の3市は再稼働に反対している。

 原発事故が起きた場合、被害は非常に広範囲に及び、事故対応には周辺自治体の協力が欠かせない。現在は再稼働に必要な「地元同意」の対象は立地自治体に限られているが、これを周辺自治体まで広げる法的な仕組みも検討すべきではないか。

 また、核のごみ問題についても根本的な解決策は見当たらない。再稼働により、使用済み核燃料が新たに生じることになるが、その処分先はなく、敷地内にたまる一方だ。このままでは、玄海原発の貯蔵プールは5~7年後にはいっぱいになってしまうという。

 対策として、使用済み核燃料を保管するプールにさらに詰め込む「リラッキング」や、特殊な容器に入れて空冷する「乾式貯蔵施設」などの保管が検討されている。確かに、それで当面はしのげるだろうが、核燃料サイクルが機能していない現状では、いずれ行き詰まるのではないか。

 福島第1原発の事故では「想定外」の出来事が次々に連鎖し、複数の原子炉が同時にメルトダウンするという人類が初めて直面する深刻な事故に至った。その収束さえおぼつかない中での再稼働である。ふたたび安全神話に逃げ込むことなく、「事故は起こりうる」という前提で絶えず安全性を見直し続けていく必要がある。(古賀史生)

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