地元パネリストが意見発表し、神埼市の将来像について考えたシンポジウム=神埼市中央公民館

神埼市商工会青年部長 佐藤健一郎さん

西九州大学子ども学部1年 青山明日奈さん

地域資源研究会「せふりの風」代表 本間昭久さん

松本茂幸市長

 合併10周年を契機として今後のまちのあり方を考える「神埼市まちづくりシンポジウム」が11月27日、神埼市中央公民館で開かれた。佐賀新聞社の澤野善文編集局長を司会、前宮崎県知事の東国原英夫さんをアドバイザーに、日々の暮らしの中で感じた地域の魅力やそれぞれが思い描くまちの将来像について松本茂幸市長や商工会、西九州大の学生ら4人が意見を交わした。登壇者の主張の要旨を紹介する。

■住みやすさはナンバー1(神埼市商工会青年部長 佐藤健一郎さん)

 饂飩(うどん)屋神埼本店代表で、商工会青年部では宿場まつりでの「わんこそうめん早食い大会」や婚活事業を企画するなど地域振興に取り組んでいる。

 神埼高校を出て山口県の大学に進学した。そのまま就職して地元を15年間離れていた。その間16回の引っ越しをしたが、神埼市は住みやすさナンバー1だ。

 婚活イベント「神婚(かみこん)」では自然豊かな高取山公園を舞台にした。まずは「知ってもらう」ことを重視し、地元の食材を使ったバーベキューや神埼にまつわるクイズもした。定員40人に70人が応募し、当日はカップルが5組成立した。

 商売をしている私にとって今の社会は人口が減り始め、これから大変になるかもしれない。活力を生むためには、地元のいいものをもっと大人が子どもたちに伝えていかなければならない。「かけがえのない人たちとかけがえのない地域のために」。商工会宣言にある言葉の通り、地元への恩返しを続けていきたい。

■温かい周囲、生きる自信に(西九州大学子ども学部1年 青山明日奈さん)

 西九州大では、あすなろうプロジェクトに参加し、地域でボランティアなどの活動に取り組んでいる。

 「昔は良かったではない。今も素敵な神埼です」。さまざまなボランティア活動に参加する中で感じたことだ。市の子どもまつりで地元の「すぎの庫文庫」を手伝った。「小さかったあすちゃんと、一緒に活動する日が来たとねえ」とスタッフから声を掛けていただいた。遊びに来た子どもたちにも「大きくなったね」という会話が自然に生まれる顔が見えるつながりがあった。

 活動を通してそうした地域の「当たり前」を支えている神埼の人たちの温かさに気付いた。これからの自分の将来を考える上で地域社会でのさまざまな体験はヒントになる。まだ若い私たちには自分自身の人生を歩んでいくための自信が必要だ。身近に学びの場をいただいていることを忘れず、郷土を思う「シビックプライド」を持ち続けていきたい。

■「ない」を地域資源に転換(地域資源研究会「せふりの風」代表 本間昭久さん)

 栃木県出身で10年前に脊振町に移住した。養鶏業を営みながら研究会ではキャンプ体験などを通して移住促進に取り組んでいる。

 脊振は人情あふれる懐の深いまち。農業を始めるときもたくさん助けてもらった。ただ、田舎に住みたいと思う人が増えている一方、空き家も増えている。空き家バンクの活用はまだまだうまくいっているとは言えない。

 脊振にはコンビニもない。ファミレスもない。車もそれほど走ってない。しかし、裏を返せば子どもたちは買い食いをしないし、家でご飯を食べる。伸び伸び遊べる。「ない」ということは「ある」という地域資源の発見の仕方もできる。

 地域には地域のルールがあって、区役や消防団、PTAの役員などを「せからしか」と思う人もいるかもしれない。しかし、地域の人と酒を酌み交わし、濃いつながりの中で一役を担うことで、私の居場所があると張り切れる人もいる。「人の輪」の中では子どもたちは地域の子。きっと素直に育っていくはずだ。

■経験と課題若者に伝えて(松本茂幸市長)

 今日は地域の現場の声を知ることができた貴重な機会になった。パネリストの皆さんが市民に対し「やってみませんか」とさまざまな提案をしてくれたことが、大変頼もしく見えた。

 各集落で開いている「市長と語る会」では高齢化、少子化をどうしようかという声を聞く。合併から10年で世帯数は増えているものの人口は1794人減り、脊振では世帯数も人口も減っている。空き家は現状約600戸ある。子どもを安心して育てられるまちづくりを考えなければならない。

 私からは地域社会で高齢者のさらなる活躍をお願いしたい。「なんもでけんばい」ではなく「何をできるだろうか」。これまで皆さんがしてきたこと、みんながやらなければならないことを若い世代に伝えてほしい。

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