子どもの不登校や虐待などの問題解決をサポートする福祉の専門職「スクールソーシャルワーカー(SSW)」の出番が増えている。いじめや貧困など子どもを巡る問題の顕在化で、家庭と学校現場、関係機関を結ぶ橋渡し役として重責を担っている。国は全中学校区ごとに配置する方針を示しており、十分に力を発揮できる環境づくりを進めたい。

 SSWは、福祉の専門知識を生かして不登校やいじめ、虐待、貧困などの問題解決に取り組むのが主な役割で、社会福祉士や精神保健福祉士の有資格者らが務めている。他に専門職としてスクールカウンセラーが子どもの心の問題に注目してケアするのに対して、SSWは子どもを巡る環境の改善に重点を置き、関係機関との連携をはかるコーディネーター役を担う。

 佐賀県内でもSSWの需要度は年々高まっており、2016年度の支援件数は1011件。5年前の574件から2倍近くに増えている。一定の支援効果も出ており、15年度の実績でみると、支援件数の43~56%が不登校や発達障害、家庭環境の問題の解決や改善に結びついた。

 需要が高まっている背景には、いじめや虐待、貧困などの問題に家庭環境が複雑に絡み合っているケースが増えており、教員だけによる解決が難しくなっていることがある。特に家庭の貧困については、保護者の就労だけでなく、保護者自身の心の病、養育力不足など問題の原因を突き止め、細やかに対応していくことが求められている。

 SSWは、福祉の専門知識やノウハウを生かした対応ができ、就労や生活保護、医療面でのサポートなど幅広い支援の枠組みづくりをリードする。いじめなどの問題では保護者が学校側に不信感を抱くケースもあり、SSWが両者の間に入って問題解決につなげることも少なくない。

 現在、県内では県教委が16人を非常勤職員として雇用、各市町に派遣する形で運用している。年間の勤務時間を社会保険の加入基準に満たない1040時間未満を目安にしており、退職金も賞与もない。時間外や休日に保護者や関係者から相談の連絡を受けることも少なくなく、近接しない複数の市町を担当するケースもみられるなど、重責に見合った待遇と労働環境にあるとは言いづらい。

 政府の「子どもの貧困対策大綱」では、学校が貧困の連鎖を断ち切るためのプラットホームと位置づけられ、SSWなどの配置推進をうたう。こうした状況を踏まえ、国は2019年度までに全国の全公立中学校区ごとに約1万人を配置する方針を示している。今後、教育現場での役割が大きくなるのは確実だ。

 2015年の中央教育審議会の答申では、SSWに関して「将来的には学校教育法等で正規職員として規定」「国庫負担の対象とすることを検討する」とし、非常勤雇用となっている現状改善の必要性を示した。

 SSWの有用性をいち早く認識し、正規職員として採用する自治体も出てきた。今後は自治体間での人材獲得競争になる可能性もあるだけに、佐賀県も有能な人材確保の意味でも待遇や労働環境の改善を進めたい。(梶原幸司)

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