阿蘇山から半径160キロ、玄海原発、伊方原発、川内原発

 佐賀県玄海町の九州電力玄海原発3号機(左)と4号機=13日(共同通信社ヘリから)

 決定骨子

 九州電力玄海原発3、4号機(佐賀県東松浦郡玄海町)は安全性に欠けるとして、佐賀など九州・山口の住民が再稼働の差し止めを求めた仮処分申し立てで、佐賀地裁は20日、却下する決定をした。立川毅裁判長は、原子力規制委員会が策定した新規制基準の合理性を認め、焦点だった火山の噴火リスクは「具体的な危険が存在するとは認められない」と判断した。3号機は23日にも再稼働する。住民側は福岡高裁に即時抗告する。 

 決定は大規模噴火について、原発運用期間中に発生する可能性が相当な根拠で示されない限り「安全性に欠けるとは言えない」という認識を示した。阿蘇カルデラの地下10キロまでに大規模なマグマだまりは存在せず、噴火直前の状態にないという九電の評価や規制委の審査結果を「合理性を欠く点はない」と結論づけた。モニタリングや火山灰など降下火砕物対策も問題視しなかった。

 耐震設計の目安になる地震の揺れ「基準地震動」の策定方法や避難計画の実効性も争われたが、いずれも住民側の主張を退けた。

 噴火リスクを評価するために規制委が作成した審査の手引書「火山影響評価ガイド」は、原発から160キロ以内の火山を対象にしている。昨年12月の広島高裁決定は阿蘇カルデラの噴火を懸念し、約130キロ離れている四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転を差し止めた。今回の決定は、ほぼ同じ距離に立地する玄海原発に及ぼす影響をどう判断するかが焦点になっていた。住民側は「火砕流が原発に到達する破局的噴火の予測は最新の知見でも困難で、立地は不適」と訴えていた。

 仮処分は、玄海原発の操業停止を求める訴訟を起こしている「原発なくそう!九州玄海訴訟」(長谷川照原告団長)に加わる住民ら73人が昨年1月に申し立てていた。長谷川団長は「独自の判断がなく、従来の司法判断を踏襲した決定」と批判した。九電は「主張が認められた妥当な決定」とコメントを出した。

 立川裁判長は昨年6月、3、4号機の再稼働差し止めを巡る別団体の仮処分申し立てを却下していた。4号機は5月中の再稼働を目指している。

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