春を待つ山里の寺

 なだらかな山並みのふところにいだかれた山里。白梅のほのかな香りが漂ってくる。

 佐賀市富士町大野地区最古の禅寺金福寺。この寺は日本の司法制度の確立に尽力し、初代司法卿となった江藤新平が、脱藩の罪で永蟄居(えいちっきょ)(長期謹慎)を命じられていたときに居住していた所。

 当時脱藩は死罪であったが、佐賀藩主鍋島直正から罪を減じられ、永蟄居を命じられた。江藤はここで付近の子どもたちに習字や漢文を教えていたという。

 また近くには昭和の「赤ひげ先生」と慕われ、長く地域医療に貢献された内藤光二先生の「北山診療所」があった。現在は二代目長男の博文先生が明るい奥様と一緒に、地域の人々の健康を見守っておられる。

 この山里には名物の北山饅頭(ほくざんまんじゅう)がある。その素朴な甘さが懐かしい。今、ふる里に温故知新の風が吹いている。(山田直行・佐賀女子短期大学名誉教授)

このエントリーをはてなブックマークに追加