漁協の運営委員長との意見交換会で有明海再生についての思いを語る山口祥義知事(左から2人目)。右隣は徳永重昭組合長=佐賀市の県有明海漁協本所

 国営諫早湾干拓事業(長崎県)の開門問題を巡る訴訟に関連し、佐賀県の山口祥義知事は19日、県有明海漁協を訪れ、福岡高裁の和解協議を進め、基金案に加えて排水ポンプ増設などの実現を要望する漁協の考え方を支持する意向を伝えた。県と漁協は訴訟の当事者ではないが事実上、国が示している基金案を追認した。一方、開門派の漁業者側はこの日、非開門を前提にした和解勧告を受け入れない回答書を、高裁に提出した。

 山口知事は、県有明海漁協の徳永重昭組合長と各支所の運営委員長との意見交換会に出席した。福岡高裁で非開門を前提にした和解勧告が示される中で、漁協が14日、協議の場で有明海再生事業の継続や小まめな排水のマニュアル化など3項目の実現を求めていることについて「一緒になって、今やれることに全力を尽くしたい」と述べた。

 漁協は、有明海再生に向け、開門調査を含む原因究明の必要性も明記している。山口知事はこの点にも触れ「開門調査が必要という思いは消せるわけがない」と理解を示した。

 国が示している100億円の基金案は、沿岸4県と漁業者団体を創設後の管理・運営団体に想定している。会合後、山口知事は報道陣に対し、裁判の厳しい見通しを踏まえ「冷静に分析し、現実的にできることを考えなければならない」との認識を示した。徳永組合長は「組合員に原告団はいるが、このままでは特に西南部地区は生産者がいなくなる。少しでも改善する方策をと思っている」と苦しい心情を明かした。

 開門派の漁業者側が福岡高裁に提出した回答書は、和解勧告に関し、開門を命じた2010年12月の確定判決を示して「裁判所自らが確定判決をないがしろにし、開門を求め続ける漁業者の夢などを一顧だにせず、あまりに偏って不公平」と批判した。漁協が示した考え方については「開門の切実な思いと、開門しない前提の裁判所の和解勧告に対する失望がにじみ出ている」と指摘した。

 漁業者側弁護団によると、高裁は和解協議で開門を前提とした議論を行わない方針を示している。回答書では「関係者の利害を調整するために、開門を含めた協議が実現することを切望する」と改めて主張した。

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