学校法人・森友学園への国有地売却に関する決裁文書改ざんを巡り、参院予算委員会で集中審議が行われ、安倍晋三首相や麻生太郎副総理兼財務相が出席した。首相は改めて陳謝。一方で「決裁文書など、私はその存在すら知らず、指示のしようがない」とし「改ざん前の文書で、私や妻が売却に関わっていないのは明らか」と強調した。

 財務省が12日に改ざんを認めて以来、初めて全ての野党が顔をそろえる本格論戦となった。しかし麻生氏や財務省幹部は、当時の理財局長で辞任した佐川宣寿前国税庁長官が「最終責任者」で「理財局の一部職員」が近畿財務局に指示したとする当初の説明を繰り返し、それ以上は「調査中」として答弁を避けた。

 このため、誰が、何のために改ざんを指示したのか―など肝心の点は明らかにならず、多くの疑問が残ったままだ。当時の近畿財務局長らが昨年の国会で、学園が開校を目指した小学校の名誉校長に首相の昭恵夫人が就任したのを知らなかったと答えるなど、財務省を挙げて改ざん内容に沿う答弁をしていた疑惑も新たに指摘されている。

 国民の不信は日々深まっている。共同通信による緊急電話世論調査で内閣支持率は38・7%に急落した。野党が求める佐川氏や財務省幹部、昭恵夫人の証人喚問による真相解明に向け、財務省は早急に調査結果をまとめ、国会に示すべきだ。

 政府、自民党は文書改ざんが発覚して以降、財務省の一部による不正という構図に押し込めようと躍起になっている。集中審議でも自民党は、官邸と自民党が財務省に隠されていた改ざんを暴いたとし、財務省を激しく非難。もっと早く政府や自民党に報告していたら、このような混乱は起きなかったと強調した。

 実際にそうなったかどうかはともかく、今月2日に「書き換え疑惑」が報道されてからの政府内の対応には不自然さが否めない。国土交通省が5日、国会に開示された文書と内容の異なる文書があり「改ざん前の文書の可能性がある」と官邸と財務省に報告。首相に翌6日に報告されたが、麻生氏には11日まで伝えられず、公表もされなかった。財務省は内容を確認する必要があったとするが、あまりにも鈍い対応と言わざるを得ない。

 佐川氏以外の財務省幹部の答弁にも疑いの目が向けられている。文書からは佐川氏が国会で否定した学園との「価格交渉」などの経緯のほか、昭恵夫人による学園への「訪問・視察」や夫人についての学園側の発言、さらに政治家側からの働き掛けが削られていた。

 改ざんが進んでいた昨年3月、国会に参考人として呼ばれた売却交渉時の財務省理財局長や近畿財務局長らは「政治家から問い合わせなどはなかった」と口をそろえ、昭恵夫人が小学校名誉校長だったことも「知らなかった」と述べている。

 財務省全体で口裏合わせをしていた疑いも拭えず、その時点で本当に知らなかったのか改めて確かめる必要があろう。

 調査について、麻生氏は大阪地検の捜査にも触れ「いつ終わるとは言えない」としているが、結果の公表を延ばせば、それだけ混乱が増すだけだ。速やかに国会に提示した上で、それを踏まえ佐川氏らの証人喚問を行い、特別委員会を設置するなど本格的な解明の態勢を組んでもらいたい。(共同通信・堤秀司)

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