「ジーザス・クライスト=スーパースター」の一場面(撮影:荒井 健)

 「どうして愛したのか。私はあいつが死んでも、生きていられるか」(ユダ)。「どうして私は死ぬのだ。そのわけ今すぐ知りたい」(イエス)-。響く歌声が、聖書や歴史の中の人物に私たちと同じ血肉を感じさせる。先日、鳥栖市民文化会館であった劇団四季「ジーザス・クライスト=スーパースター」は、彼らを現代の私たちと同じ地表に立たせた。

 アンドリュー・ロイド・ウェーバーが、盟友ティム・ライスの歌詞でつづる名作ミュージカル。イギリスのロックバンド、ザ・フーのピート・タウンゼントが“発明”した「ロック・オペラ」の盛り上がりの中、シングル、アルバムの発表を経て1971年にブロードウェーで初演された。

 劇団四季では73年に初演された。浅利慶太が原作を和風に置き換えた「ジャポネスク」版はロンドンでも好評だったというが、今回は原作の世界観によりリアルに迫る「エルサレム」版(76年初演)。ビートは少し古いが、聖人たちの苦悩が胸に迫る。四季の俳優の実力を改めて実感した。

 特にユダの芝清道は、ジーザス役やファントム(オペラ座の怪人)、ムファサ(ライオンキング)を演じてきた実力派。冒頭から圧倒的な存在感を見せた。ユダの自殺までは感情を込め、おなじみの「スーパースター」ではノリノリと、豊かな表現力。久留米市出身ということもあり、会場は大いに盛り上がった。

 ジーザス・清水大星、マグダラのマリア・谷原志音ら若手も抜群の歌唱力で物語に説得力を持たせた。日本ではキリスト教のタブーに触れる緊張感はあまりないが、運命に翻弄(ほんろう)される群像劇は見応え十分だ。「ジャポネスク」版とともに再演を待ちたい。

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