木工用接着剤などを使いカラフルな作品を仕上げる

カレンダーの原画にもなっている作品

ビニール袋から色を混ぜた木工用接着剤を絞り出し、絵を描く参加者

 金立特別支援学校の保護者4人で立ち上げた芸術活動サークルが5周年を迎えた。毎月1回、絵画や陶芸、書に取り組み「子どもたちが楽しむ時間」を大切に歩んできた。特別支援学校では季節の行事や外出が用意されていても、卒業後は一転「体験活動が狭まる」現状がある。サークルは、手探りで居場所づくりを考える場にもなっている。

 サークルの名称は「はーと あーと倶楽部(くらぶ)」。2月中旬、佐賀市鍋島町の地域活動支援センターに、5人の子どもたちと保護者が集まった。木工用接着剤に赤や黄色など、アクリル絵の具を混ぜ、ビニール袋に流し込む。袋の角を数ミリ切ると、握力が弱い参加者でも絞り出せる手作り容器ができた。

 直線や波線を書いたり、スプーンで広げたり。数分で仕上げる人も、何層にも色を重ねじっくり仕上げる人もいる。ビーズやスパンコールで飾った作品も並んだ。通い初めて3年目になる佐賀大学教育学部附属特別支援学校高等部1年の西村嘉浩さん(16)は「すごく楽しい」と目を輝かせ、色鮮やかな作品を完成させた。

 障害がある子どもを育てる保護者は在学中から、「卒業後」を見据える。どんな生活が充実した人生につながるかを考え、施設見学や、卒業生の保護者を招き勉強会を開く。

 代表の松尾礼子さん(65)=佐賀市=は、保護者数人で、アート活動を取り入れた鹿児島県のしょうぶ学園などを訪れ「衝撃を受けた」と振り返る。学校では最初から目標となる形を決め、背後から教師が手を添え完成に導く場面もある。しょうぶ学園では、例えば利用者が好きな色の糸を選び、刺しゅうをする。職員は本人の意思を尊重し、見守る。「私たちの子どもにも何かできることがあるはず。何か楽しんでできることを」。思いが一致した。

 アドバイザーとして、画家で佐賀女子短期大学の大江登美子准教授(こども未来学科)が関わる。迷ったときに「この色や素材を使っても楽しいかも」と選択肢を示し、生き生きとした創作の時間に寄り添う。金立特別支援学校以外の子どもたちも参加するようになり、各回10人ほどが参加する。年齢も7歳から22歳と幅広くなった。最初は作品づくりの時間が5分だった参加者が10分、15分と長くなり、「上手ね」の言葉に笑顔で返す、そんなことが増えてきた。

 一方で、障害がある子どもたちが活動する場所が、ハード面でまだまだ限られている現状にも突き当たる。車いすでは利用しづらい公民館があったり、対応していても自力で立ち上がれない重い障害がある参加者が使うトイレまでは整備されておらず、開催場所に選べなかったり。「地域で活動する、その環境づくりが途上だと感じる」。メンバーは口をそろえる。

 8月下旬からは、佐賀県庁で5周年を記念する展覧会を開く。「言葉で表現できない子どもたちの心の中にも、何かを表現したいという気持ちがある。ぜひ、多くの人に見てほしい」。

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