熟年離婚を回避するために何を実行すればいいかを話す石蔵氏=佐賀市のホテルニューオータニ佐賀

トヨタレンタリース佐賀 秋葉秀則さん

 佐賀新聞社が主催する佐賀政経懇話会(13日)で、大阪大学招へい教授で医師の石蔵文信氏が「熟年離婚と夫源病(ふげんびょう)~妻に捨てられないための五箇条」と題して講演した。夫の言動が原因で体調不良となる「夫源病」を提起する石蔵氏が、夫婦関係を長く続けるこつを語った。講演要旨を紹介する。

 

 「男性更年期外来」を開いており、夫婦でカウンセリングの受診も多い。ある妻は「夫がうつ病にならなければ離婚していた」と言った。以前までの夫は毎晩遅くまで飲み歩き、土日も接待でいなかった。病気を機に生活スタイルを改めたことで夫婦の時間が増え、離婚を免れた。

 老後の問題は四つあるといわれている。資金、健康、夫婦問題、居場所。後者の二つが問題だ。夫への愛情がないのは7割という調査結果もある。離婚しないのはお金の問題、子どもの問題、面倒だという理由。愛情があるからではない。

 結婚後、5年以内に6割近い女性が夫を嫌いになり始める。ちょうど女性が出産し、子育てをする時期。妻は子育てを押しつけられ、一人で抱え込む。この時期に夫婦の亀裂が深まる。最近は“産後クライシス”という言葉で知られる。耐え続け、辛抱してきた女性が爆発するのが熟年期。夫はひたすら謝るしかない。

 定年後に名刺や肩書がなくなると、仕事一筋だった男性は、地域社会でどう生活をしていけばいいか分からなくなる。

 すると、妻が旅行や買い物に出ようとすると「わしも」といって、どこにでもついて行く。妻は自由に行動できない。夫が家にいると“亭主在宅症候群”になる妻も多く、離婚や別居後に元気になる。

 同居20年以上の離婚率は1975年の5・8%に対し、2013年は17・6%にまで上昇している。5、6組に1組の割合だ。熟年離婚の理由を見てみると、上位は浮気や酒癖、暴力といったものではない。「家事を手伝わない」「暴言を吐く」「病気のとき冷たかった」といった日常の小さいことの積み重ね。

 妻を一個人として見ているだろうか。上から目線で妻と接していないだろうか。そうであれば熟年離婚は近づいている。上から目線をやめるには、「おい、おまえ」ではなく、名前で呼ぶことも対策の一つだ。

 女性は夫が家にいるほうが死亡率2倍だという。男性は妻がいると死亡率は0・46倍。夫が妻に依存していて、負担をかけている。家事を覚えて自立しないといけない。

 老後の生活についてのアンケートで、男性は妻に「健康」と「長生き」を求めるが、女性は夫に「健康」と「お互いに干渉しない」という項目が上位を占める。男女間で全く違う。

 熟年離婚を予防するには、妻の希望通りに、干渉しない、自分のことは自分でするというのを実行しないといけない。

 アメリカの大学の調査では、夫婦げんかの少ない夫婦は、多い夫婦より死ぬ確率は2倍。けんかが少ないからといって仲がいいわけではない。夫婦げんかを恐れずにやってほしい。

 女性は一日2万語しゃべらないとストレスがたまる。男性は6千語。妻の悩みには「夫が話を聞いてくれない」というのも多い。相手の話を聞きながら、時折相づちを入れ、話を聞くことも重要だ。

 「ありがとう」「ごめんなさい」「愛している」という言葉掛けもしてほしい。誕生日や結婚記念日も忘れないこと。どこかで待ち合わせて花束を渡せばなおいいでしょうね。

 

■講演を聴いて

トヨタレンタリース佐賀専務 秋葉 秀則さん

 

 老後、妻とどう過ごすか私事の話だと思い参加した。「家事には定年がない」という言葉が印象に残った。老後、妻に依存せず、負担をかけないためにも、料理教室に通いたい。共通の会話が増えるのもうれしい。老後、夫婦で楽しく過ごすためのヒントをもらえた。

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