佐賀新聞社が県内企業を対象に実施した賃上げに関するアンケート調査で、今春以降に「実施する」、または「実施する方向で検討中」と回答した企業が7割に達した。人手不足を背景に人材の確保や定着を図ろうと、定期昇給やボーナスの増額だけでなく、基本給を底上げする「ベースアップ」、初任給引き上げに踏み込む企業も目立った。

 調査は1月中旬から2月初旬にかけて県内に本社や事業所を置く200社に実施し、94社(47・0%)から回答を得た。

 それによると、賃上げに関しては28・7%が「実施する」と回答。「実施する方向で検討中」の43・6%と合わせると、72・3%が賃上げに積極的な姿勢を示した。「実施しない」は12・8%、「未定」は14・9%だった。

 業種別では、酒造、電気・電子、機械・金属などで賃上げを「実施する」と答えた企業が多かった。時期については、今春が72・5%で最も多く、今夏11・6%、今秋2・9%、今冬1・4%と続いた。

 具体的な対応(複数回答)は、「定昇のみ実施、検討」が39・7%で最多。「定昇・ベア実施、検討」が35・3%、「ボーナスに反映」、「初任給の引き上げ実施、検討」がともに30・9%で、「ベアのみ実施、検討」は19・1%だった。初任給引き上げの理由は、「優秀な人材の確保」が90・5%を占めた。

 賃上げで重視する点(複数回答)については、「モチベーション向上」が78・6%でトップ。「業績」71・4%、「労働力の確保・定着」58・6%と続き、「地域・業種の相場」、「過去の賃上げ実績」はいずれも18・6%、「物価動向」は2・9%だった。

 求人数が求職者数を大きく上回る空前の「売り手市場」が続く中、アンケートでは人材確保の難しさを訴える意見が多かった。ある自動車部品メーカーは「九州には自動車関連企業が集中し、メーカーが増産に踏み切ると人材を奪い合う状況になる」と指摘、「賃金を上げても人が集まらない」と窮状を訴えた。

 今春に定昇、ベア、初任給の引き上げを予定する精密機械メーカーは安倍政権が目玉政策に掲げる働き方改革に触れ、「残業規制の強化、有給休暇の取得促進が求められている」と回答。「新卒、中途、パートのいずれも確保できておらず、優秀な人材を確保するためには待遇改善をするほかない」とした。

 一方、大都市に比べて県内の景気回復の足取りは重く、賃上げに踏み切れない企業もある。陶磁器メーカーは「売り上げ不振と借入金の返済で、賃金を上げられる環境にない」とし、金融機関からは「先行き不透明で、収益悪化が予想されるため実施は難しい」との声が聞かれた。

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