デジタル映像で佐賀の業績や偉人を紹介する幕末維新記念館=8日の内覧会

 「肥前さが幕末維新博覧会」が17日、佐賀市城内エリアを中心に開幕する。明治維新150年の節目に、日本の近代化をリードした佐賀の歴史や業績を振り返り、新たな飛躍に向けて一歩を踏み出す契機にしたい。

 維新博は「幕末維新記念館」(市村記念体育館)をメインパビリオンとして、「リアル弘道館」(旧古賀家)や「葉隠みらい館」(旧三省銀行)、唐津、鳥栖のサテライト館などで展開される。佐賀城本丸歴史館や佐賀県立博物館・美術館など既存施設も活用し、来年1月14日まで県内各地で繰り広げられる。

 幕末維新記念館は「歴史と未来をつなぐ架け橋」がコンセプト。幅15メートルの大型スクリーンを使い、佐賀が果たした業績や偉人たちの活躍を紹介する。「幕末維新」「技」「人」「志」の四つのテーマに分け、デジタル技術を駆使した映像などで当時の佐賀を浮かび上がらせる。

 反射炉や鉄製大砲の鋳造、実用蒸気船の建造など他藩に先んじた技術と、その構築に力を注いだ10代藩主鍋島直正をはじめ、多くの優れた人材が幕末維新期の日本をけん引した。記念館の映像の冒頭では「その時、日本は佐賀を見ていた。佐賀は世界を見ていた」という維新博のキャッチコピーが映し出されるが、まさに激動の時代を見通す先見性があった。

 その活躍を顕彰する維新博だが、パビリオンが並ぶ一般的なイメージの博覧会とは趣が違う。「楽しい」「面白い」というアミューズメント施設が集まっているわけではなく、「学び」の要素が強い。来館した一人一人が当時の空気感や先人の考え、気概を感じ取り、夢や希望を膨らませる-。そのきっかけにすることで、一過性に終わらない意義のあるイベントになるだろう。

 佐賀県は、昨年10月からプレシンポジウムを開いてきた。唐津会場では唐津藩英学校「耐恒寮」、鳥栖会場は「交通・物流の結節点」、小城会場は「菓子の文化」、嬉野会場は「茶産業」と、各地域の特色を踏まえ、歴史を振り返りながら現代につながる地域の力を再認識した。

 幕末維新期に躍動した佐賀の源泉は、佐賀城内一帯にとどまるわけではない。県内各地に秀でた人材がいて、その活躍が日本を、地域を先導して現在の礎となっている。維新博ではサテライト館も設けられるが、それぞれの地域で幕末維新期の息吹を感じる場となるように運営してほしい。

 新たな国づくりに向かった当時と、成熟した社会となった現代。状況は大きく異なるが、「時代が違う」で片付けては開催の意義がない。当時の人たちの思考や行動、気概に触れ、「これから」を生きる力にしたい。(大隈知彦)

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