江戸末期から明治にかけ活躍した落語家の初代三遊亭圓朝。得意の噺に「死神」がある。中身はこうだ。借金まみれの男のもとに、老人が現れ金もうけの方法を教える◆「病人には死神がついていて、枕元にいたら助からないが、足元だと追っ払って救える」。呪文と手拍子で追い払えば、礼金が稼げると―。早速、男はやって来た患者の足元にいる死神に、呪文をとなえ「パン!パン!」。患者は元気になり大枚の礼金が◆ある時、大金持ちから3千両の依頼がくる。だが、死神は枕元に鎮座。困った男は一計を案じ、患者の布団をクルリと回して、死神に足元を向けるや追い払う。が、不正をしたかどで死神に捕まり、消えそうなロウソク1本を見せられる。「これがお前の寿命。患者にお前の分を差し出したのだ」。男は動転し、「ああ消える…」◆世の中、自分の都合よく回そうとすると、思わぬしっぺ返しを食うのである。こちらもそうだろう。社会を揺るがす「森友」文書改ざん問題だ。財務官僚が手を染めたが、なぜそこに至ったのか、指示した人物は―の核心は口をつぐんだまま。あからさまにできない何かがあるから、政治家や首相夫人の名が消えたのか…◆解明の行方次第では、政権の「寿命」にも障るというもの。しっかり襟を正さなければ、手痛いことになりかねない。(章)

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