えひめ国体の開会式で行進する佐賀県選手団。佐賀国体に向けた競技力向上が課題になっている

 2023年の佐賀国体・全国障害者スポーツ大会を見据え、佐賀県が新たな一手を打ち出した。新年度から始める「SAGAスポーツピラミッド(SSP)構想」で、トップ選手の発掘・育成やスポーツ文化の裾野の拡大が狙い。県は昨年のえひめ国体で47都道府県中43位と苦戦しており、5年半後の国体成功に向け、構想の実現と定着を図ってほしい。

 「佐賀に愛着を持つアスリートを育てたい。そうすることで県外流出に一定の歯止めがかかり、国体への強化にもつながる」。県スポーツ課の担当者は、佐賀国体が第1目標となるものの、構想の実現で長期的な県のスポーツ振興の好循環が生まれると強調する。

 SSP構想を理解するには、2020年の東京五輪に向けた国や東京都の取り組みを見れば分かりやすい。日本オリンピック委員会などと連携し、メダルの有望選手らを強力に支援している。大会の成功はもちろんのこと、根底には選手の活躍が国民の誇りや元気につながるとの思いがある。

 県の構想もこうしたスポーツの力を強く意識したものであり、特に将来が有望視される選手は、新たに設ける「SAGAスポーツエリートアカデミー」で強化する。県や競技団体、学校、指導者などがまとまって支援チームを組み、個別育成プログラムの作成からトレーニング指導、進学・就職支援までトータル的に進める考えだ。

 佐賀で生まれ育ち、全国大会などで好成績を残している児童生徒は少なくないが、多くが大学進学や就職で県内を離れていく。構想には、こうした流れに歯止めをかけるとともに、県出身のトップ選手にUターンしてもらい、引退後は指導者として次世代の選手を育ててほしいという願いが込められている。この際、最も必要なのは安定感のある就職先であり、「ふるさとで競技を続けたい」と思わせる仕組みが欠かせない。

 県は1976年の佐賀国体で男女総合優勝を飾り、天皇杯を獲得している。事前の選手強化に加え、実績のある選手や指導者の招へいに力を入れており、それが県のスポーツ振興の基盤となったのは間違いないだろう。お隣の長崎県は2014年の2度目の国体で天皇杯を獲得。その後も上位をキープし、昨年も24位と健闘している。県の規模や実業団の数など違いがあり、単純に比較できないかもしれないが、国体成功を競技力向上に結びつけている。

 山口祥義知事は佐賀国体に向けて「天皇杯獲得を目指し、オール佐賀で挑む」と明言している。新年度はエリートアカデミー事業のほか、競技ごとの強化拠点地域の指定にも取り組む。国体後の姿もイメージしながら、関係者の熱意と工夫で構想を着実に前進させてほしい。(杉原孝幸)

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