学校法人・森友学園への国有地売却を巡り、財務省が公文書の書き換えを認めた。2016年6月の契約に際して近畿財務局が作成した決裁文書について昨年2月に8億円余りの値引きが発覚した後、国会議員に開示するに当たり、学園側との交渉経緯の一部や「学園の提案」といった文言を削除するなど計14件に上る文書を書き換えた。

 当時、学園が開校を目指していた小学校の名誉校長だった安倍晋三首相の昭恵夫人や、学園側に頼まれ働き掛けに動いた複数の政治家に関する記述も削除した。夫人と学園の関係から野党は特別扱いの疑いがあると一斉に追及。疑惑を全面否定し「適正処理」を強調する政府答弁に沿うよう書き換えたとみられる。

 森友問題が表面化した当初から国会議員、ひいては国民を欺いていたことになり、重大な裏切り行為だ。もはや、この政権は信用に値しない。財務省理財局の指示があったとされ、書き換え時に局長だった佐川宣寿国税庁長官は既に辞任。関与した近畿財務局の幹部や職員、本省の幹部らの処分が検討されている。

 麻生太郎副総理兼財務相は速やかに自らの政治責任と進退を明確にすべきだ。首相の責任も問われよう。さらに、これまでの政府説明を徹底検証する一方、佐川氏や昭恵夫人を証人喚問するなど森友問題解明の仕切り直しを図る必要がある。

 決裁文書のような行政文書などは、公文書管理法によって「国民共有の知的資源」と位置付けられ、将来にわたり国による政策決定過程の検証を可能にするため、保存や管理が義務付けられている。時の政権の都合で改ざんされたり、廃棄されたりしては、民主主義を支える国民の知る権利が大きく損なわれる。あってはならないことだ。

 森友問題を巡っては首相が「私や妻が関与していたら、首相も国会議員も辞める」と答弁するなど、政府は事実関係の調査を突っぱね、さしたる根拠も示さずに力任せに否定を重ねた。佐川氏は学園側との交渉記録は廃棄したとして説明を拒み続け「価格交渉はしていない」「政治家の関与はない」と繰り返した。

 今年1~2月には、大学教授の情報公開請求に学園側との交渉経緯などを記した5件の近畿財務局文書が開示され、国会にも20件の文書が提出されたが、財務省は「交渉記録ではなく法律相談文書」と説明。価格交渉をうかがわせる音声データについても「価格交渉ではない」と強弁した。

 書き換え疑惑が報じられてもなお財務省は、国有地売却に絡む背任容疑の告発を受け大阪地検が捜査中であることを理由に説明を拒んだ。しかし与党内からも批判の声が上がり、近畿財務局の担当部署で森友問題の対応に当たっていた男性職員の自殺が明るみに出るに及んで、ようやく地検から捜査資料である文書の提供を受けて調べた。

 「安倍1強」といわれる政治状況の下で、官邸の顔色をうかがいながら官僚が文書の書き換えに手を染め、それと矛盾しないように次から次に文書に手を加えていったのだろう。誰が何のために、どのような指示があったのかなど全容解明を急がなければならない。

 さらに首相の友人が理事長を務める加計学園問題も含め、政府を擁護し、疑惑解明に背を向け続けてきた与党の責任も厳しく問われるべきだ。(共同通信・堤秀司)

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