高級茶専門店で実施した市場調査。現地企業の関心は高く、販売契約に向けた協議が続いている=1月、シンガポール

 嬉野市の茶生産者と卸業者でつくる海外ブランド推進委員会と日本貿易振興機構(ジェトロ)は本年度最後の会合を同市で開き、1月にシンガポールで実施した「うれしの茶」の市場調査の成果を報告した。現地の関心は高く、飲食業者など7社と販売契約に向けた協議が進んでいる。現地入りした卸業者は輸出に向けた取り組みを継続し、市場開拓の可能性を前向きに探っていく考えを示した。

 市場調査は1月11日から3日間、輸入規制が比較的緩い同国の高級茶専門店で行った。茶卸5社の担当者が現地のレストランやホテル関係者、人気ブロガーなど約30人にうれしの茶の特徴を説明し、茶葉を使った料理も提供した。

 参加者の反応は上々で、特に香りに対して「フレッシュ」「洗練されている」と評価する声が聞かれた。料理の香料や調味料としての活用に関心を示す飲食店関係者もいたという。

 市場調査は、2016年から2年続けて採択されたジェトロの地域団体商標海外展開支援事業の一環で実施。推進委ブランドプロデューサーの井上俊彦さんは「国内販売量で数%しかないうれしの茶の希少性こそが強力なセールスポイントになる」と指摘した。

 全国茶生産団体連合会などによると、茶(緑茶)の国内消費量はピーク時の約7割に落ち込んでいる。国内市場が縮小する中、嬉野市はジェトロと協力し、海外の残留農薬基準への対策などを定めた輸出戦略を策定。推進委の取り組みを後押ししている。

 市場調査に同行した卸会社の担当者は「今回のつながりを大事に、シンガポールでの活動を続けたい」と事業継続に意欲を示した。推進委の委員長を務めた橋爪英彦・県茶商工業協同組合理事は「組合として来年度も事業を続けていくかは未定」としつつ、「これまでは国内の競争力強化ばかりに力を入れてきた。海外では希少価値が販路開拓に有効で、可能性の広がりを感じた」と取り組みを振り返った。

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