ひときわ気高い品格を醸し出す器、青磁。中国・後漢時代に原型をみる。ひと口に青といっても空の色、海の色、宝石の色とさまざまだ。かつての中国皇帝は、雨が過ぎ去った後の、雲の切れ間から見える空の色を求めたという伝説がある。そこから「雨過天青」という言葉が生まれた◆亡くなった青磁作家、中島宏さんは、そんな永遠に続く宇宙を表すような青を追い求めた。名窯出身でもなく、徒手空拳、自らの才能と努力で、「中島ブルー」といわれる気品と存在感のある青磁を生み出した◆「作品こそが全て。陶芸家の人柄がどんなに良く、肩書があっても100年、200年たてば消えていく。作品の素晴らしさ、強さだけが人の心を打つ」。晩年、口にした言葉である。若い頃から型破りな言動で「九州陶芸界の荒武者」と呼ばれた人だったが、創作が卓越していたからこそ認められた◆独創にこだわった人生。「誰に頼まれても二つと同じものは作らない」との言葉通り、人まねを嫌った。とにかく研究熱心で、貫入(ひび模様)も計算して入れる。「土、釉薬、窯の温度で狙ったものが出せる」と言っていた◆話をすれば、速射砲のように言葉がほとばしった。それがもう聞けないと思うと寂しくてならない。きっと向こうの空でも、幾多の陶芸家と芸術論を熱く語ることだろう。(章)

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