「強みも弱みも『距離感』だと思います」-。バレーボール日本代表監督の就任会見で、中田久美さん(51)が女性監督の強みを問われて答えた。真っ先に出てきたのは、技術論や組織論ではなく、選手たちとの向き合い方だった◆「名選手名監督にあらず」とはよく言うが、中田さんには当てはまらない。15歳で代表入りした名セッターで、ロサンゼルス五輪で銅メダル。イタリアでコーチ修業し、久光製薬スプリングス(鳥栖市)の監督1年目でプレミアリーグなど3冠に導き、リーグ優勝3度の常勝軍団に育て上げた◆その土台には、ひとりひとりの選手との適度な距離感、つまり間合いがあるわけだ。離れていては何も始まらない、近づきすぎれば緊張感を失う。わざわざ「弱みも」と付け加えたのも、人の心の機微を知る人だからだろう◆ごたごたの末、東京五輪の会場はボートも水泳も、当初の計画通りに収まった。小池百合子都知事の登場で、コストがガラス張りになっただけでも良しとすべきか。「復興五輪」で盛り上がった宮城県には気の毒だった◆残りはバレーボール会場だけ。新設の有明アリーナか、既存の横浜アリーナか。小池知事は「クリスマスまで」と期限を切ったが、2020年、その大舞台の真ん中には、選手たちと心ひとつに闘う中田さんの姿があるはずだ。(史)

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