福岡高裁が開門しない和解案を示したことについて、報道陣の質問に答える佐賀県有明海漁協の徳永重昭組合長=佐賀市の漁協本所

 国営諫早湾干拓事業を巡り、福岡高裁が開門しない和解案を示した5日、佐賀県内の関係者からは「既定路線」との冷静な受け止めと、協議が即座に決裂する見通しになったことへの戸惑いが交錯した。

 「双方が和解をするような雰囲気にならないなら仕方ない」。県有明海漁協の徳永重昭組合長は報道陣にこう切り出し、「『開門しない前提』という言葉を付けた以上、原告は納得しないだろう」と推し量った。

 漁協は訴訟の当事者ではないが、国の強い働きかけで、排水ポンプ増設などを条件に、基金案の受け入れを検討せざるを得ない状況に追い込まれた。問題に振り回され、「(再生の話は)和解とは別にやってくれと最初から言ってきた」と徒労感もにじませる。

 原告を抱える漁協大浦支所の弥永達郎運営委員長は「裁判所からもう少し違う内容の案が示される期待があったけれど…」と言葉少な。漁業不振が深刻な西南部の5支所は独自に基金案を協議しているが、「新たな提案がない以上、会議することもない」と話した。

 県議会終了後、足早に執務室に戻って報告を受けた山口祥義知事。和解協議が難しいと聞き、「いきなりそうなるとは思わなかった」と報道陣に述べた。

 「それぞれの立場で冷静な分析が必要だ」と言葉を選びつつ、漁業者が約20年、翻弄(ほんろう)されてきてなお、確定判決が履行されない状況を「極めて問題だ」と指摘した。今後については「現実的に未来を見据え、いろいろな意見が出てくると思う」と複雑な表情を浮かべた。

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