「共に支え、共に生きる」と題して講演する沼野尚美さん=佐賀市の県医療センター好生館

■「愛伝えられる人生を」

 佐賀県医療センター好生館のがん県民講座が3日、佐賀市の同センターであり、兵庫県の宝塚市立病院緩和ケア病棟で心のケアも行うチャプレン・カウンセラーの沼野尚美さん(60)が講演した。余命の短いがん患者と32年間接してきた経験を踏まえ、「自分や愛する人の万が一を想像し、生きようと思える言葉を伝えられる人生を送って」と語り掛けた。

 沼野さんは九つの緩和ケア病棟で3千人の患者とかかわってきた。その中で痛感したのが、家族の絆がもろくなってきた現実という。子どもにみとられずに亡くなる患者も増えているとして「親の愛は子どもに届いていますか。人生の最後に会いたい人に来てもらえる生き方をしていますか」と問い掛けた。

 人生の終末期を迎えた患者の心境もひもとき「一緒にいてくれてありがとうと言える人を誰もが求めている。その一つが家族」と指摘。同じ思いを重ねられる同世代の仲間の存在も心の支えになると強調した。

 高齢化の進行で日本人の2人に1人ががんにかかる時代となり、在宅で治療を続ける独り暮らしのお年寄りも多い。同センターの患者や市民約200人が耳を傾け、自分や家族の現実、将来と向き合った。

 治療を続けるかをどう決断し、治療をやめた後にがんといかに向き合うかをテーマに、好生館の専門医5人による座談会もあった。

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