県内初の博物館として創設された徴古館の室内。企画展を定期的に開催し、現在は「佐賀城下ひなまつりが開かれている=佐賀市松原

 佐賀市の佐賀県庁北東。佐賀藩10代藩主鍋島直正と11代藩主直大(なおひろ)を祭る佐嘉神社の西側に、クリーム色の2階建て洋風建築がたたずむ。1997年に国の登録有形文化財に指定された「徴古館(ちょうこかん)」だ。曲線的な外観が特徴で、1927(昭和2)年、県内初の博物館として建てられた当時の面影がほぼそのまま残る。色とりどりのひな人形が佐賀市中心街を彩り、31日まで開催中の「佐賀城下ひなまつり」のメーン会場としても親しまれ、街並みに溶け込んでいる。

 徴古館は鍋島家に伝わる美術工芸品や歴史資料などを所蔵、その中には、県内唯一の国宝「催馬楽譜(さいばらふ)」をはじめ、さまざまな“お宝”がある。鍋島家12代当主鍋島直映(なおみつ)氏が1940年、収蔵品の保存や社会教育の振興を目的に設立した財団法人「鍋島報效会(ほうこうかい)」(現在公益財団法人)が運営し、年4回の企画展などを通じて一般に公開している。

 その道のりは平たんではなかった。

中心市街地に立つ西洋風の外観が特徴の徴古館=佐賀市

 太平洋戦争の勃発で一時閉館し、戦時中は軍が接収、所蔵していた資料は各地に分散疎開された。戦後、徴古館付近は引き揚げ者の生活の場となり、NHK佐賀放送局として機能したことも。55年に県が譲り受け、県文化館として再開したが、70年に県立博物館が開館したことから機能を移転し、再び展示を休止した。97年に国の登録有形文化財に指定されたことを機におよそ半世紀ぶりに博物館として再開。展示だけでなく、フランス製のピアノ「プレイエル」を使った音楽会なども開かれるようになった。

 藤口悦子副館長(67)は「閉館の時期が長く、文化財登録で敷居が高いと思われていた」と明かす一方、「企画展などで認知度は上がってきた。歴史や文化を発信する拠点として、地元に愛される建物にしていきたい」と今後を見据える。

【ちょっと寄り道】伝統工芸と人形融合 佐賀城下ひなまつり

 「佐賀城下ひなまつり」は徴古館のほか、旧古賀銀行などで構成する佐賀市歴史民俗館(同市柳町)も会場となっている。伝統工芸と融合したひな人形を展示し、来場者を楽しませている。

 旧古賀銀行では、「鍋島緞通(だんつう)で飾るひなまつり」と題した展示を企画。伝統手工芸品の鍋島緞通とひな人形の組み合わせは見応え十分。手織りの佐賀錦に身を包んだひな人形は旧福田家に展示されている。旧古賀家には、人形作家の福岡伊佐美さんによる「鍋島小紋」に身をまとった愛らしいひな人形が並ぶ。

 いずれの会場も歩いて回れる。微古館が300円、市歴史民俗館は400円の入場料が必要で、共通の当日券は600円。小学生以下は無料。問い合わせは佐賀市観光協会、電話0952(20)2200。

【アクセス】

 

 徴古館の住所は佐賀市松原2の5の22。長崎自動車道佐賀大和インターチェンジから車で約20分。JR佐賀駅から県庁方面へ中央大通りを進み、郵便局前交差点を佐嘉神社方面へ左折してすぐ。佐賀駅バスセンターからは佐賀市営、昭和、祐徳バスが運行している。「県庁前」か「佐嘉神社」で下車。徴古館は電話0952(23)4200。

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