墜落機と同型のAH64D戦闘ヘリコプター(通称アパッチロングボウ)=2015年10月、神埼郡吉野ヶ里町の陸上自衛隊目達原駐屯地

 神埼市千代田町の住宅に陸上自衛隊目達原駐屯地(神埼郡吉野ヶ里町)のAH64D戦闘ヘリコプターが墜落し、隊員2人が死亡した事故は、5日で発生から1カ月になる。陸自が設置した航空事故調査委員会(事故調)で原因の究明が進められており、飛行記録や整備履歴が残っているとみられるメンテナンス・データ・レコーダー(MDR)の解析が鍵を握る。一方で、機体整備の現場の過重な負担を指摘する声もあり、事故原因との関連の有無も焦点になりそうだ。

 事故調は2月20日時点で、陸上幕僚副長を委員長に陸幕幹部や航空関係の部隊員ら計48人で構成されている。原因究明の鍵を握るMDRは、機体を製造した米ボーイング社が装置の製造元に解析を依頼しており、データの抽出がいつ完了するかは見通せない。事故調は、防衛省の訓令で事故発生から4カ月以内に防衛相に調査報告書を提出することになっているが、解析作業次第で6月上旬以降にずれ込む可能性もある。

 4枚の羽根を回転軸に固定する部品「メインローターヘッド」を飛行直前に交換し、空中で羽根2枚が外れて機体が落下した状況を踏まえ、事故調もメインローターヘッドに注目する。

 陸自は当初、交換した部品を新品と説明していたが、説明から6日後の14日に「中古品」で、不具合による修理歴があったと訂正した。「(部品は)新しく取り付けたもの」という担当者の報告が「新品」との誤認につながったという。

 山崎幸二陸上幕僚長が8日の定例会見で「新品だと報告を受けている」と説明した翌日には、新品ではないことが陸自内で指摘されたが、公に訂正するまでには「メーカーや保管していた部署への問い合わせ、確認に時間がかかった」(陸幕広報室)と説明する。

 こうした経緯から、部品の管理体制の不備を問う声もあるが、陸自は「発表を誤ったのは事故後で混乱していたから」と否定する。

 部品の不具合の有無や、整備に問題がなかったかが焦点になるが、整備現場の問題を指摘する専門家もいる。航空評論家の青木謙知氏は、AH64Dが事故機を含め13機だけという環境を挙げて「整備人員は機体数に比例して配置される。通常飛行のほか、計画外の整備や修理が必ずあり、人員が少ないほど1人の負担は大きい」と指摘し、こうした整備を巡る環境と事故との関連性を注視する。

 ヘリは2月5日午後、定期整備後の試験飛行中に墜落、現場の住宅が全焼し、この家にいた小学5年の女児(11)が逃げる際にけがをした。祖母がいた隣の住宅も焼け、他に落下部品が家の屋根を貫通するなど8件の被害が確認された。

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