JR筑肥線唐津発伊万里行き最終列車。唐津駅を出発直前で乗客は1人もいない

JR九州のダイヤ改正で削減対象となっている筑肥線唐津発伊万里行きの最終列車内。利用者によると「いつもがらんとしている」

 「大減便」で地域の反発を呼んだJR九州のダイヤ改正が17日に実施される。佐賀県内は1日当たり18本削減され、筑肥線の唐津-伊万里間は上下最終便の2本が対象となる。沿線住民からは、利用者が少ない現状に「減便やむなし」の声も聞かれるが、合理化を推し進めるJR九州に対し、誰もがさらなる減便への不安を募らせる。

 2月上旬、午後9時48分唐津発伊万里行き最終列車は、2両編成の車内に数人を載せて走っていた。作業服姿の伊万里市の男性(58)は「(唐津線への乗り入れ区間が終わる)山本駅を過ぎるといつもがらんとなる。客が私だけのときも多いよ」と話した。

 男性は訳あって1カ月余り、この便を利用している。「もうすぐ私も使わなくなるし、無くなってもしょうがないと思う。でも、これ以上減らされたら、困る人が出るんじゃないかな」

 JR九州は今回の減便に際し、利用状況を調査して地域への影響を最小限にとどめたとしている。唐津-伊万里間の場合、午後8時台の便は高校生が利用しているが、最終便はいなかった。ただ、伊万里市の担当者は「新年度になって通勤通学に影響が出る人が現れれば、修正を求める」という。

 昨年7月、JR九州は各路線1キロ当たりの1日平均乗客数を初めて公表した。唐津-伊万里間は県内で最も少ない236人で、同社が発足した30年前と比べて7割近く減った。軒並み減少している地方路線の中でも、旧産炭地を通る路線は減少幅が大きい傾向がある。

 このデータ公表には、地方路線の厳しい現状を沿線住民や自治体に理解してもらい、将来像について共に考えてほしいという呼び掛けの意味があった。しかしその5カ月後には、地元への十分な説明もないまま、大幅減便が発表された。

 合理化を急ぐJR九州に対し、沿線自治体は危機感とともに不信感を抱く。今回、唐津線が7本削減される多久市の担当者は「利用促進に取り組もうとした矢先だったので減便はとても残念。今後は突然言い渡すのではなく、地元と一緒に時間を掛けて対策を考えてほしい」とくぎを刺す。

 JR九州の青柳俊彦社長は報道各社とのインタビューで、新幹線長崎ルートが暫定開業する2022年度までは大幅なダイヤ改正は行わないことを示唆している。暮らしを支える「地域の足」をどう守るか。JRと行政、住民が連携して議論を深める必要がある。

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