未就学児の療育支援施設「クラスルームといろ」で児童と向き合う指導員=佐賀市のほほえみ館

 佐賀県佐賀市が昨年10月に開所した発達障害児療育施設「クラスルームといろ」は、想定を上回るペースで利用者が増え、開所5カ月でフル稼働状態になっている。保育士や小学校の特別支援教育経験者の指導を受けながら、子どもたち45人がコミュニケーションの方法を学び、小学校入学の事前準備を進める。保護者にとっては、同じ不安や悩みを共有する交流の場にもなりつつある。早期療育への関心は高く、「待機」も発生している。

 佐賀市ほほえみ館内の「といろ」。指導員が女児(3)に尋ねた。「今、どんな気持ち?」。ホワイトボードに「元気」「うれしい」など四つの感情が色分けしてある。女児は「悲しい」の横にカードを貼った。保護者控室でマジックミラー越しに見ていた母親には思い当たる節があった。「今朝、好きなイチゴジャムが切れてたんです」。控室は和やかな笑い声に包まれた。

 子どもは週1回のペースで通う。コミュニケーションを取るのが苦手だったり、一つの物事に没頭して切り替えることが難しかったりする特性がある。療育で感情や気持ちを伝えることを学ぶ。「質問されたら答える」というコミュニケーションの流れを経験させる狙いもある。応答の仕方に慣れることで、集団生活でのトラブルを回避しやすくなるという。

 状態に応じ、療育は個別から集団へと移行する。カリキュラムは個別に作成し、1時間半同じ室内にいながら、1人で活動する時間帯もある。同じ教室で過ごし、相手の気持ちを考えたり、想像したりすることも療育の一環だ。

 特性に対する周囲の無理解も重なると、子どもは環境に適応できずに生きづらさを感じるようになり、不登校や引きこもりなど2次障害を引き起こす場合もある。ある母親(36)は「まずは自分自身の特性に気付き、対処法を知ってほしい。学校や社会に出たときに、特性が原因で必要以上につまずいたり、傷ついたりすることをできるだけ回避したい」と早期療育を望んだ。

 通所を始め、同じ悩みを持つ母親たちと知り合いになった。「話に共感してもらえるので、気持ちも楽になる」。療育の副産物も生まれている。

 民間の療育施設で待機が発生していることを受け、佐賀市は県内では自治体として初めて発達障害に特化した施設を1100万円で設置した。2歳以上の未就学児が対象で、利用には自閉スペクトラム症など医療機関の診断書が必要。人繰りや日程を工夫して対応しているが、10人前後が待機し、需要が供給を上回っているのが現状だ。

 市子育て総務課は「想定以上の需要がある。運営を始めたばかりで、受け入れを増やすには施設の拡充だけでなく、指導員も必要になる。まずは療育の質を確保したい」としている。

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