東京の下町。友人に誘われて焼き鳥を食べに出かけたことがある。「この店構え、どこかで…」と思ったら「この店、『孤独のグルメ』にも出たとばい」-。俳優の松重豊さんが、ひとり黙々と食事するだけという風変わりなテレビドラマのロケ地だった◆このドラマは、中国や台湾でも人気だという。焼き鳥屋もカウンターとテーブルふたつだけのこぢんまりとした店で、1人客でもゆっくり落ち着けそうな雰囲気。松重さんのように孤独がさまになる男に憧れるが、孤独にはリスクが伴うものらしい◆英国は「孤独担当相」を設け、メイ首相が「話し相手、考えや経験を共有する相手がいない人たちが抱える孤独に対処するため行動を起こす」と宣言。孤独は「現代の伝染病」で、そのリスクは1日15本の喫煙や肥満よりも高く、アルコール中毒に匹敵するとか。認知症にもなりやすいと聞くと、さすがに気になる◆特に日本の男性は、世界で最も孤独という経済協力開発機構(OECD)の調査もある。会社中心で、退職後は社会とのつながりが乏しいケースも少なくない。人生100年時代。孤独とどう向き合うかは、もはや社会的なテーマである◆焼き鳥の味はドラマの通りで、うならされた。もっとも、あのうまさには、気心知れた友人と一緒、というスパイスも効いていたのだろう。(史)

このエントリーをはてなブックマークに追加