コーチと笑顔でショートラリーをする大谷桃子選手(手前)と本山航大記者=佐賀市の県庭球場

 車いすテニスプレーヤーとして世界の頂点を目指す西九州大2年の大谷桃子さん(22)=佐賀市。2020年の東京パラリンピックが迫り、障害者スポーツに関心がある人も多いはず。そもそも車いすテニスってどんなルールがあるのだろう? 本紙の本山航大記者が、大谷さんから車いすテニスのこつを聞いて体験してきた!

ネット越しにカメラマンの頭上ギリギリを狙い、笑顔を見せる大谷桃子選手=佐賀市の県庭球場

 車いすテニスは、コートの広さやネットの高さなど健常者テニスと同じ試合環境でプレーする。ルール上、大きく違うのは2バウンドまで許される点だ。2バウンド目はコートの外ではねてもOKなので、車いすを急スピードで動かしてボールを拾わなければいけない。コートの外に車いすを滑り込ませてボールを拾ったり、ラリーのスピードも速かったりと想像以上にハードだ。
 久しぶりにラケットを握る本山記者は、ぎこちないながらも片手で車いすを動かしてボールを軽快に返す。だが大谷さんのスピードボールに「なんだこれ!」を連発。「めちゃめちゃ速い」と驚きをみせていた。

力強いショットを放つ大谷桃子選手=佐賀市の県庭球場

 東京パラリンピックに向けてますます注目が集まる車いすテニス。大谷選手はもちろん、世界ランク男子3位の国枝慎吾選手、女子1位の上地結衣選手など世界で活躍する日本人プレーヤーが多く、見応えある競技だ。5月14日には福岡県飯塚市で国際大会「ジャパンオープン」が開幕する。ぜひ熱い戦いを観戦して、応援しよう。

競技歴わずか1年半

 国内ランク3位で、車いすテニス界で飛躍するプレーヤー、大谷桃子さん。車いすテニス歴はなんと1年半だ。めざましい飛躍をみせる彼女の目標は「東京パラももちろんだけど、グランドスラムでの優勝。やっぱりあこがれの場所です」と瞳を輝かせる。
 車いすテニスとの出合いは2年前。右足が動かず車いす生活だった大谷さんはジャパンテニスオープンの試合を見てしびれた。点を取り合う白熱した試合に「レベルが高くて驚いた」と話す。
 持ち味は鋭いサーブと“攻める”テニス。高校時代のインターハイ出場経験の実力と、車いすテニスへの飲み込みの早さで、急成長した。課題はチェアワークと言われる車いす操作。「車いす歴が浅いのもあるけど、そんなこと言ってられない」。車いすでの走り込みや上半身を鍛えるトレーニングに取り組む。
 4月には韓国での国際大会を控える。「まだまだ車いす操作や攻撃のパワー不足など課題も多く、そこを中心に練習してきた。これまでやってきたことを早く試合で試したい」と胸を躍らせる。

頭と体、呼応せず… 
         体験記

車いすテニス初体験の本山航大記者。意外とスムーズなチェアワークで大谷選手とラリーを展開した=佐賀市の県庭球場

 ラケットを中指から小指の3本で持ち、残りの指と手のひらで車輪を回す。大谷さんから車いすの動かし方を教わった。「2バウンドまで許されるから余裕なはず」。軽く構えていたのに、行きたい方へ「どう動かすんだっけ」と考えているうちにボールが横を通り過ぎていった。
 2バウンドすると余計にボールが遠くなる。「なるべく1バウンドで」と、大谷さんは小回りを利かせてスイスイ追いついていく。かなり手加減してもらい、とにかく車いすをちょこまか動かしているうちに何とか返球できるようになった。
 立ってラリーしても、大谷さんのスピードボールを返すのがやっとだった。「車いすテニスの方がうまいですね」。練習を終え、声を掛けられた。褒められたと気分上々だったが、帰りにふと気が付いた。車いすテニスの方が?

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