最後となる土ひな展を開く倉富博美さん=多久市多久町

土ひなのシンプルな造形とは違って制作は重労働。粘土を板状に延ばすには、全体重をけける=多久市多久町

 国重要文化財・多久聖廟の近くに工房を構え、土の手びねりで人形を制作する「人形の家・聖心房」で、24年間続けてきた春恒例の「創作 ひな人形展」が今回で有終を迎える。工房主の人形師・倉富博美さん(67)は「干支(えと)を二回りしたところで今回が潮時。ひな人形を通じて多くの人と知り合えて感謝している」と話している。ひな人形は約250点を展示。3月4日まで。

 倉富さんは20歳の時に、唐津市相知町の人形師に弟子入り。その後、故郷に工房を構えた。造形の幅を広げるため1995年からひな人形の作品展を始めた。このころ、倉富さんはC型肝炎に罹患(りかん)しているのが分かり、過酷なインターフェロン治療を受けながら、手びねりのひな人形を作り続けた。

「多くの人と出会えた」と感謝

 「作品展をテレビ報道で知り土砂降りの中、工房に訪れたお年寄りが、『かわいい、かわいい』と言ってくれて、毎年来てくれるようになった」。倉富さんは、治療がつらくてもひな人形展を続けることを決意したという。

 ひな人形の衣装部分を板状の粘土を包み込むようにかたどったシンプルな造形が人気の秘密だが、「制作は重労働」(倉富さん)という。毎日、午前5時に起床し、午前7時から作業開始。特に粘土をこねる作業は全体重をかけ、板状にしたり、型枠に詰めたりして、「長年の作業で体力的に無理がたたった」と倉富さん。恒例の作品展は、秋の「地蔵展」だけに絞ることにした。

 「(ひな人形展終了を聞いた)多くの人に惜しまれた。ただ、3年後、集大成となる70歳での制作50周年記念展に向けた前向きな決断」と倉富さんは話している。作品展の問い合わせは「人形の家・聖心房」、電話0952(75)6432。

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