日本将棋連盟に所属する龍谷高校3年の武富礼衣(れい)さん(18)=佐賀市=が今月初め、女流棋士2級に昇級、プロ棋士となった。佐賀県出身のプロ棋士誕生は戦前を含め、男女を通じて初めて。将棋の最年少プロ、藤井聡太六段(15)の活躍で空前の将棋ブームに沸く中、県将棋界にとって待望の新星だけに、今後のさらなる飛躍に期待が集まる。

 武富さんは、父と兄が将棋を指している姿に興味を持ち、5歳の頃から駒を手にした。佐賀大附属小4年の時に小学生将棋名人戦県大会2連覇、附属中2年で中学生女子名人戦の全国大会準優勝を果たし、高校1年の時には全国高校選手権で女子3位に入った。その後、昨年5月に女流プロの仮資格(3級)を取得、今月には公式戦の女流名人戦予選で見事に決勝に進出、女流プロとなる規定を満たして、悲願を達成した。

 将棋の世界には、プロ棋士養成機関である「奨励会」と女流プロ養成機関としての機能を持つ「研修会」があり、全国の精鋭がプロを目指して腕を磨いている。武富さんは、福岡の将棋道場などで経験を積み、東京にある研修会に入会。学業の傍ら月に2度、研修会に通って対局を続け、力をつけた。棋力向上を図る研修会は、一昨年には福岡市にも組織され、福岡在住のプロ棋士が指導、将棋の裾野を広げている。

 佐賀県内でも、道場などと並び大会が盛んだ。佐賀新聞社などが主催する「佐賀名人戦」には毎年、県内の強豪が集まっており、リーグ戦で名人への挑戦権を争う対局が組まれる。1年を通じてリーグ戦を行い、地元の「名人」を決めるシステムは全国的にも例がなく、若手の実力養成にも一役買っている。武富さんも、小学5年生の時に佐賀名人戦の予選大会を女性で初めて突破、最年少で男性の常連組と戦っている。

 将棋界はこのところ、話題が尽きない。昨年、公式戦29連勝の大記録をつくって「将棋ブーム」を巻き起こした藤井六段は今月、第一人者の羽生善治二冠らを破って史上最年少で棋戦初優勝を果たした。海外でもインターネットでの対局の普及や、外国語に訳された人気漫画「NARUTO―ナルト―」で将棋のシーンが紹介されたこともあって、将棋ファンが増えつつある。

 昨年10月に北九州市・小倉であった「第7回国際将棋フォーラムin北九州」には、世界42の国と地域から48人の選手が出場。欧米だけでなく、ペルーやグアテマラなどの中南米や、コートジボアールなどアフリカからも選手が集まり、日本の著名なプロ棋士たちと交流を深めた。3年に1度の大会で、次回は東京五輪・パラリンピックがある2020年となる。

 将棋専門誌「将棋世界」などに執筆し、佐賀新聞の将棋欄にも観戦記を寄せている日本将棋連盟県支部連合会の椋露地淳市会長は、「海外でも日本の『SHOGI』は人気で、中国・上海では将棋人口100万人といわれるほど普及している」と将棋ファンの増加ぶりを紹介する。最近の将棋熱の高まりを背景に、武富プロへの思いは強く、「佐賀の将棋界にとって長年の夢でもあったプロ誕生。ぜひタイトルを目指してほしい」と大きな期待を寄せている。(丸田康循)

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