100年以上の歴史を刻み、久保田町の生活や農業を支えてきた水取用水樋管=佐賀市久保田町

森永組時代の法被を着用して、先祖の功績に思いをはせる森永建設の森永浩通社長=佐賀市久保田町

 佐賀市久保田町にある明治時代に造られた土木設備「樋管」が、新たな設備に生まれ変わる。当時の石積みの伝統工法で造られ、100年以上にわたって地域住民の暮らしや農業を支えてきたが、劣化による漏水や堤防の拡幅のために取り壊され、その役目を静かに終えようとしている。関係者は「先人が知恵を絞り、苦労して造った旧設備の功績は、地域住民の心に残り続けるだろう」と感慨深げだ。

 「樋管」は堤防を貫通し、河川から土地へ水を流す役目を担う。今回、改修工事が行われるのは、嘉瀬川西の堤防下を通る水取用水樋管(1911年完工)と禅門用水樋管(1910年完工)。いずれも同町の森永建設(森永浩通社長=写真)の前身の森永組が手掛けた。

 どちらも全長約27メートル。建設機械のない時代に手作業で石を積む伝統的な工法で造られ、嘉瀬川から地域への農業用水の供給などで、生活の役に立ってきた。

 禅門は今年3月ごろ、水取は来年12月ごろをめどに国発注の公共工事で造り替えられる。禅門は既に一部工事が進められている。工事完了時には、樋管近くにあった当時の村長や森永組代表「森永半次郎」の名が彫られた石碑や、安全を祈願してまつられていた仏像が、記念碑として設置されるという。

 森永社長は樋管について「先祖が心血を注いで造ったものが、長く役に立ち誇らしい。土木設備は縁の下の力持ち、なくなる時にその価値が見直される」と話していた。

このエントリーをはてなブックマークに追加