ハコベ

 春先、小さな白色の花を咲かせるハコベは、道端や田畑など、どこにでも見られます。春の七草としてはハコベラ、小鳥がエサとすることからヒヨコグサとも呼ばれ、古くより動物たちの命を育んできた野菜です。

 中国ではフタマタハコベの根を、ヨーロッパでは地上部を採取し、軟こうにして湿疹や皮膚炎の治療に用います。日本では繁縷(はんろう)という生薬名で全草を薬用とし、歯科医療が発達する以前、民間では「ハコベ塩」を歯痛止めの薬としていました。

 「和漢三才図絵」(1713年、寺島良安が編纂した百科事典)にもアワビの貝殻に、ハコベの搾り汁と塩を入れて焼き、乾いたらまたハコベの搾り汁を加えて焼いて、これを七度繰り返した「塩ハコベ」を指先につけて歯を磨いたと記されています。ハコベは歯みがき粉の元祖と言えそうです。(中冨記念くすり博物館)

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