国史跡「勝尾城筑紫氏遺跡」の保存整備について意見交換したパネルディスカッション=鳥栖市立図書館

勝尾城の石垣

 2006年に国史跡に指定された鳥栖市の「勝尾城筑紫氏遺跡」の保存活用を市民と一緒に考えるシンポジウムが18日、鳥栖市立図書館で市内外から約90人が参加してあった。研究報告やパネルディスカッションでは、もっと多くの情報発信や早期整備を求める意見が出された。

 市教委と、同遺跡保存整備委員会会長を務める市村高男大阪産業大特任教授(中世史)の研究室との共催。基調講演後、勝尾城から7年遅れの13年に国史跡になりながらも着々と整備・活用が進んでいる福岡県久山町の中世の山寺跡「首羅山(しゅらさん)遺跡」の様子が報告された。

 報告したのは同町教委の江上智恵さんで地域の力を借りた、楽しく活発な取り組みを紹介。地元の小学生たちが授業で首羅山を世界に発信しようとキャッチコピーをつくったり、開山伝承をもとに絵本を作って経済産業省のキッズデザイン賞を受賞したことなどを示して「遺跡が地域の宝、子どもたちの誇りになっている」と話した。2019年に「首羅山遺跡登山道(仮称)」がオープンするという。

 一方、勝尾城の発掘調査を当初から担当した元鳥栖市教委の石橋新次さんはその報告の中で「遺跡との出合い(調査)からもう約30年になるが、何もできていないのは残念」と話した。

 パネルディスカッションでは、遺跡近くの男性が「早い整備を望んでいるが、少し熱が冷めてきた」と地元の空気を説明した。司会を務めた市村会長は「勝尾城はほとんど情報発信もされていない。鳥栖市は公有地化が進まず整備に着手できないとしているが、よそではやれるところからやっている」と再検討を求め、「市民が声を上げて市の背中を押してほしい」と呼び掛けた。

 同遺跡は戦国時代、現在の鳥栖市域を中心に勢力を誇った筑紫氏の約90年間の城下町遺跡で、居城および支城群から構成されている。1989年のほ場整備に伴う発掘調査で発見され、2006年に国史跡に指定された。

「思い見えない」「計画見直しを」

遺跡保存整備委

市に意見相次ぐ

 ○…勝尾城筑紫氏遺跡シンポジウムの翌日の19日、市役所で同遺跡保存整備委員会(会長・市村高男大阪産業大特任教授、6人)が開かれた。市教委は公有地化(用地買収)が予定の2017年度までに完了できないとして、18年度も公有地化を優先させる方針を示すと、委員からは並行して整備計画を見直して早期に整備を始めるよう求める意見が相次いだ。

 委員は中世史や考古学の専門家、元文化庁調査官、地元代表らで構成。市教委の方針に対し、「公有地化の遅れを踏まえ、整備計画を見直してできるところから始めるべき」「福岡県久山町の首羅山遺跡の取り組みを参考にしてはどうか」「勝尾城遺跡に対する鳥栖市の思いが見えない」などの意見が続いた。

 市教委によると、葛籠(つづら)城跡約12万5千平方メートルのうち約82%、筑紫氏館跡地区約1万平方メートルのうち97%を公有地化している。3年間で終える計画だったが、2年延長した経緯がある。市教委は「2013年策定の整備基本計画で公有地化してから整備するとなっている。来年度もまずは公有地化に傾注したいが、併せて現状に合わせた整備の進め方も検討してみたい」と引き取り、委員会を終えた。

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