佐賀銀行の新頭取に内定した坂井秀明常務=佐賀市の佐賀銀行本店

 佐賀銀行は21日の定例取締役会で、陣内芳博頭取(68)が退任し、後任の頭取に坂井秀明常務(59)を昇格させる人事を決めた。同行生え抜きの頭取は2代続けて。陣内氏は代表権のある取締役会長に就く。2019年度以降の中期経営計画を策定するタイミングに合わせた交代で、若返りを図る。4月1日付。

 坂井氏は会見で「身が引き締まる思い。地域とのつながりを大切にする方針を引き継ぎ、厳しい経営環境、新たなニーズに対応できる経営計画を1年かけて作りたい」と抱負を語った。

 2012年6月から頭取を務める陣内氏は「取引先の増加、貸出金が上向きになるなど自ら作った経営計画にめどが付き、世代交代の時期と考えた」と説明した。坂井氏を後任に選んだ理由では、総合企画部で約10年間勤めて銀行全体の理解が深く、経営改善策を着実に浸透させた手腕を挙げ、「収益環境が厳しい今こそ、彼の持つ決断力と実行力が求められる」と述べた。

 今回の退任について、福岡市の2支店で16年に起きた多額窃盗・侵入事件とは関係がないことも強調した。

 生え抜きの頭取は指山弘養氏(1994~2003年)を含め3人目となる。

 【略歴】さかい・ひであき 1958年、小城市芦刈町生まれ。小城高校、青山学院大学法学部を卒業後、81年に入行。二日市支店長や武雄支店長、取締役総合企画部長などを経て、2014年から常務取締役。

■金融環境の激変に対応

 佐賀銀行の陣内芳博頭取が坂井秀明常務を後継に指名した背景には、マイナス金利政策などで急速に変化する金融環境がある。

 陣内氏は頭取就任当初から5年9カ月、厳しい状況での経営を担い、「前頭取の9年と比べて短いと思われるだろうが、金融業界がこれまでにないスピードで動き、ゆっくり考える時間がなかった」と対応に苦慮した点を挙げた。総合企画部長時代からの部下で、自らが構想した事業性評価や生産性向上などを迅速に具体化した坂井氏の実行力、若返りが必要と判断した。

 坂井氏は現体制の方針を踏襲する考えで、地銀再編についても「足元はしっかり(独立路線で)経営し、地域や行員のために何がいい銀行かを考えて対応したい」と慎重な姿勢を見せる。金利競争の激化、貸し出し利ざやの縮小で収益環境が悪化する中、独自色をどう打ち出すのか、時間的猶予はない。

 唐突な印象を受けた今回の交代。福岡市の支店で16年に起きた多額窃盗・侵入事件とは無関係と強調するが、信頼回復と再発防止策を着実に生かせるかの手腕も問われる。

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