この冬、雪かきが朝の日課になった

 多い時で70センチほど積もった雪も日影に小さく残るだけになった。その雪解け水の多くは大地に浸みわたり、一部は春の川となって有明海へと注がれる。

 三瀬が白く覆われている頃、とあるきっかけでお隣のヤマメ養魚場をほんの少しだけお手伝いすることになった。朝方、わが家の平飼い養鶏の仕事を一段落させた後、水仕事用の手袋と長靴を着けて向かう。ご近所の方に教わりながら、渓流から養魚場に入れこむ水口や、魚を飼ういくつものプールへ注がれる金網の氷をたたき落し、絡む枝葉などを取り去る。水の冷たさに手足がしびれる。エサは水温が上がらないと魚も水面に上がらず、様子を観察しながら行う。小屋には電灯はなく、窓の明かりだけだ。嵐の日も雪の日もこの仕事を40年続けてきた。「昔は何もなかった。今は物があふれている」と笑った。家族を養うために仕事を続けてきた人の背中を見た。一瞬目がにじんだが、冷たい風のせいだったのだろうか。(小野寺睦・養鶏農家)

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