アメリカでは「1票の格差」が70倍を超えているとか。自由と平等を掲げる国で、なぜと首をかしげたくなるが、国の成り立ちに理由がある◆米国の議会上院は、議席を各州ごとに2議席ずつ割り振っている。これを人口比に置き換えると、その格差はとてつもなく大きくなるわけだ。州の代表という性格を持たせているためで、いわば合衆国は各州が集まった“合州国”である◆日本ではこれまで、1票の格差を縮めようとするあまり、参議院で「鳥取・島根」「徳島・高知」を一つの選挙区にまとめる「合区」にまで進んでしまった。人口が少ない県は一緒にしてしまえという、ずいぶん乱暴な数合わせである◆ここにきて、1票の格差をめぐる議論が熱を帯びている。自民党が、参議院を各都道府県から少なくとも議員1人を選出できる改憲案をまとめたからだ。東京一極集中がこのまま進めば、地方の声が反映されにくくなる。人、物、金をのみ込んで膨張する都市部の存在感が増す一方で、地方はないがしろにされかねないという危機感の表れである◆参議院は「良識の府」と呼ばれるが、ともすれば、衆議院の判断を追認するだけの「カーボン・コピー」と揶揄(やゆ)されてもきた。米国の上院さながらに、参議院で地方の発言権を確保する-。決して悪くないアイデアに思えるのだが…。(史)

このエントリーをはてなブックマークに追加