世界の若い指導者(写真はロイター、ゲッティなど)

 世界各国で近年、30~40代の若い指導者が相次いで誕生している。清新さを前面に打ち出し、閉塞感が漂う社会の変革を訴えて支持を広げた。若さ故の経験不足をはね返し、既成概念にとらわれない発想を武器に活躍するリーダーたちに対する有権者の期待は高い。

 ▽最年少

 端正な顔立ちの31歳。世界最年少の首脳と言われるオーストリアのセバスティアン・クルツ首相だ。党勢が傾いていた国民党を率い、2017年10月の国民議会(下院)選で勝利し首相に就任。党を刷新して権限を集中、改革の期待を背負う。

 「これからも変わらない」。17年末の欧州連合(EU)、1月のフランス、ドイツでの首脳会談にも、以前と同じく民間機のエコノミークラスで出向き「自分流」を貫いた。スタンドプレーとの批判もあるが、毅然とした行動力は際立つ。

 15~16年に中東などの移民が欧州に押し寄せた際、外相としてバルカン半島の陸上ルートの封鎖を主導、反移民感情を募らせる支持者の信頼は厚い。ただ元ナチス党員が設立した政党と連立を組んだことに批判も強く、1月に首都でデモが起きた。

 ▽首相の産休

 ニュージーランドのジャシンダ・アーダン首相は37歳だ。17年の総選挙では野党労働党を率い、親しみやすい人柄とコミュニケーション能力の高さが支持され、長期政権に倦怠感を覚える有権者に浸透した。当初の劣勢を挽回、議席を大幅に伸ばして政権を奪った。

 最低賃金引き上げや産休手当拡大など手堅い政権運営の一方、新たなリーダー像も提示。1月に第1子の妊娠を公表、6週間の産休取得を発表した。女性首相の先輩であるヘレン・クラーク氏は「全ての女性が家庭と仕事を両立する選択肢を持つべきだ」とエールを送り、地元メディアは「先駆的な女性リーダーの新たな一歩」と好意的に報じた。

 ▽変化の象徴

 17年6月に38歳で首相に就いたのは、アイルランドのレオ・バラッカー氏(39)だ。同性愛者で移民家庭の出身でもある。「西欧で最も保守的」といわれたアイルランドの変化を象徴する出来事と大きく報じられた。

 インド出身の父とアイルランド人の母の間に首都ダブリンで生まれた。17年9月の世論調査で49%だった支持率は、12月に56%に上昇。若年層より高齢者層での支持率が高い。

 アイルランドはカトリック信者が8割を占め、同性愛や離婚もかつて違法だった。ただ、15年に同性婚の合法化を国民投票で決めるなど、意識の変化は急速に進む。首都の男性運転手は「年齢は関係ない。物腰の柔らかさや演説の巧みさに期待する」と話した。(ウィーン、シドニー、ロンドン共同=土屋豪志、板井和也、高橋伸輔)

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