海水中の酸素濃度が極端に減り、二枚貝などが死滅する原因となる有明海奥部での貧酸素化について、佐賀大と九州大の研究グループが、国営諫早湾干拓事業の影響で貧酸素化が進んだとの研究成果を発表した。潮受け堤防閉め切りで島原半島沿岸の潮流が弱まったため、外海からの水が入り込みやすくなり、佐賀県西部の有明海奥部で貧酸素化していると指摘した。

 諫早湾干拓事業を巡る訴訟で、国は堤防閉め切りと有明海奥部の漁業不振との因果関係を否定しているなか、貧酸素化との関連を指摘した今回の研究結果に注目が集まりそうだ。

 有明海では鹿島市・太良町沖の有明海奥部と諫早湾内で貧酸素化が見られ、佐賀大低平地沿岸海域研究センターの速水祐一准教授(50)らが有明海奥部での長期的な貧酸素化について3年前から研究。その成果を科学誌「ジャーナル・オブ・オーシャノグラフィー」電子版に発表した。

 速水准教授らは、有明海奥部で1970年代から90年代にかけて起きた有機物量の増加が、植物プランクトンの増加と二枚貝の減少によって引き起こされ、貧酸素化につながったことを実測データによる解析で明らかにした。

 さらに、97年の堤防閉め切りによって諫早湾口から島原半島の東沿岸の潮流が弱まり、天草灘から低温・高塩分の海水が底層に浸入。この影響が有明海奥部まで及び、表層の海水と混ざりにくくなったため、貧酸素化が進んだことを突き止めた。

 これまでの研究で、堤防閉め切り前後で有明海奥部の潮流はほとんど変化していないと分析していた。

 速水准教授は「干拓事業が漁業に与える影響について議論されてきたが、今回の研究で貧酸素化進行のメカニズムが解明された。有明海再生に向けた実効性のある対策につなげてほしい」と話している。

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