東京の大学に通っていた頃、アルバイト代が入ると、近くの焼き鳥屋で「ホッピー」を飲むのが、ささやかな楽しみだった。大衆酒の王様といわれるホッピーだが、首都圏以外ではなじみが薄い◆実は麦芽とホップで作られた清涼飲料水で、焼酎をこれで割ったものもホッピーと呼ぶ。戦後まもなく発売され、当時はビールが高根の花だったために、代用品としてもてはやされた。焼酎割りにすると何のことはない、「第三のビール」と同じものになる◆政府・与党が酒税を見直して、先々税率を一本化するビール類は、まず7年後に「第三のビール」という区分をやめ発泡酒に統合する方向という。安くて飲みやすい庶民の味方は増税になり、ビールは減税となる。生活防衛をしている人にとっては釈然としないだろう◆世界のビール市場は欧米の大手によるグローバル競争の真っ最中。日本だけが海外では通用しない第三のビールなどの開発に血道を上げていては、勝負に勝てない。メーカーの競争をゆがめているなら、複雑で分かりにくい税制をいじろうとなったようだ◆第三のビールの元祖、ホッピーは一時、売り上げが低迷したが、また盛り返している。低カロリー、低糖質、プリン体ゼロが健康志向にマッチした。そういえば、久しく飲んでいない。「昭和の味」に会いたくなった。(章)

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