7区で集団の中を力走する杵島郡チームの吉田伊吹選手(中央)=佐賀市東与賀町

 青山学院大の箱根駅伝連覇をマネジャーとして支えた社会人1年生が、3年ぶりのレースに挑んだ。県内一周駅伝初日の16日、杵島郡の吉田伊吹選手(23)=佐賀銀行=は7区を担い、区間5位と健闘。「久々だったけど、やっぱり楽しい」。チームのために走る喜びを取り戻し、心を躍らせた。

 有明中で本格的に陸上を始め、白石高時代は5000メートルの自己ベストを14分37秒まで伸ばして都道府県対抗駅伝にも出場した。「箱根駅伝に出る」。高い目標を胸に大学に進んだが、自信は次第に薄れていった。高校時代のタイムを更新できない日々が続き、激しいレギュラー争いに直面した。2年になり、チームは箱根駅伝を初制覇したものの、メンバーには遠かった。

 「もう無理かな」。チームを去ろうと考え、原晋監督に相談すると、マネジャーにと声を掛けられた。選手として箱根路を諦めることを意味したが、形は違ってもチームに残れるのならと決断。監督と練習メニューを相談したり、大会時の送迎バスを手配するなど、裏方としてひたむきにチームを支え続けた。

 現役時代、箱根駅伝はメンバーに入れなかった焦りや、自身のふがいなさから素直に楽しめずにいたが、マネジャーになり、「選手が全力を出してくれれば、それだけでいい」と一心に応援できるようになった。「自分のためより人のために動く方が合っていた」と振り返る。

 選手はひたすら走ることに専念する。「そこにどれだけの支えがあるか、今なら分かる」。3年のブランクで足は重かったが、「自分が青学に行けたのも、こうしてまた走れたのも、地元の人に育ててもらったおかげ」と、一歩一歩を踏みしめた。

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